高齢化社会などに伴い、医療費の増大は日本の大きな課題の1つになっています。
そこで健保連が考えているのが、健康保険の対象となる範囲を見直し、本当に医療を必要とする人のみに保険を適用してもらう制度運用です。
その見直し案の中で、大きく話題となっている薬が花粉症の薬でした。
しかし、もう1つ、今健保連の見直し対象案で物議を醸している薬があります。
それが、皮膚科で処方される塗り薬の「ヒルドイド」。
アトピーの患者さんで使っている方もいる薬ですが、この薬が保険適用外になるのではないか、という話が出ています。
ヒルドイドが健保連の保険対象見直しになっている経緯や、世間の反応についてまとめました。
目次
健保連、ヒルドイドも保険適用外の検討対象に
健保連が保険給付範囲見直しの中で、ヒルドイドを保険適用外にすることを検討しています。
このヒルドイドは、「ヘパリン類似物質」と呼ばれる保湿剤で、マルホ株式会社が1954年から販売している、昔から使われてきた塗り薬です。
小林製薬の「アットノン」にも、ヘパリン類似物質は配合されています。
ヒルドイドと同等の成分の商品として、「ヒルメナイド」という商品も出ていて、かなりの利用者がいる薬です。
高額医療も登場、軽症の保険を見直す方向性
現在健保連が保険給付対象を見直しているのは、軽症者向けの医薬品が中心となっています。
医療が進歩している中で、今までは治療が難しかった難病に対する医薬品が登場してきました。
しかし、中には薬価設定が1,000万円を超えるような、超高額医療・薬品もあります。
現在進められている健保連の保険給付見直しからは、高額医療への必要な保険給付を維持しつつ、軽症者にはある程度自己負担をしていただくという指針が見えてきます。
健保連、保険適用外対象見直しは美容目的が一因
健保連がヒルドイドを保険適用から外すことを検討しているのは、この薬が美容目的で多く処方されてきたためです。
雑誌など、美容を扱うコンテンツで、ヒルドイドは高級美容クリームよりも保湿効果があると紹介されたため、女性を中心にヒルドイドを求める方が増えました。
過去にもヒルドイドは、一度保険適用から除外することが検討されました。
この時は除外が見送られ、医療外の処方はNGという通知を改めて周知しています。
しかし、現在もヒルドイドは男性より女性に多く処方されていて、本来の目的である皮膚炎・アトピー治療ではなく、保湿剤として利用している方がいる状況です。
ヒルドイド保険適用外でアトピー患者の悲痛の声
ヒルドイドが保険適用外になるというニュースで、本来の治療目的でヒルドイドを利用していた患者さんは、困惑・悲痛の声を上げています。
#保険適用外
いやいやいやいや!!
ちょっとまって!
アレグラもヒルドイドも保険適用外は困るって!!
毎日使うのに薬局で買うとか破産するわ!— 隠れオタママン@まったりダイエット中 (@kftEHjDTXYgQXaZ) 2019年8月22日
ヒルドイド保険適用外になるの?!
美容目的で使ってる奴らのせいで???
あれ、娘が赤ちゃんの時によくお世話になったのに・・・
てか、病的に乾燥肌やアトピー性皮膚炎の方々にとってかなりきついやろ— エイミー@ブログ読んでね (@kiyota1ban) 2019年8月22日
ヒルドイドと花粉症薬、保険適用外決まったら我が家破産や…
— はぴこ (@hapikobun) 2019年8月23日
保険適用外、今出されてるのを基準に制度変えるんじゃぁなくてさ…
アホみたいに湿布もらってく爺婆や、化粧品がわりにヒルドイドもらってくおばちゃんとかの対策をしようよ…
本当に湿布とか保湿クリームが疾患で必要なとこが困るだろ…
— taka (@rocinante916) 2019年8月22日
健保連の推計では、美容目的のヒルドイド処方は、年間で数十億円単位。
相当な医療費増につながっていることは、理解できますね。
ただ、ヒルドイドの見直しについては
- 本当に医療目的で利用している患者さんに、大きな不利益をもたらす
- 健康保険適応外で使用する場合は全額負担を求めるように徹底するべき
- 健康保険の医療費増の大きな原因は高額医療であり、あまり効果が期待できない
- ヒルドイド以外にも、医療用以外で処方される薬品は数多くあるのでは
などの意見も聞かれます。
健保連の保険適用外、不適正な医薬品の利用・処方のツケ
保険適用で処方してもらえるヒルロイドが保湿剤代わりにいい、という噂で、かなりの不適正な利用や処方が問題となっているヒルロイド。
そのせいで、本当に必要としている患者さんにツケがまわり、保険適用外とされるなら、患者さんとしては納得がいかないですね。
一度は保険適用除外を見送られたヒルドイドですが、今回はいよいよ全額自己負担になってしまうのでしょうか。
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