湿布や風邪薬、花粉症の薬などが保険適用外になるというニュースが飛び込んできました。
健康保険組合連合会は、2022年には保険財政の悪化が深刻になると懸念し、一部の医薬品を保険適用外にするという方針を発表しました。
対象となる医薬品と、そのメリットとデメリットについてい調べました。
目次
ドラッグストアで購入できるものは保険適用外に
健康保険組合連合会が発表したのは、ドラッグストアで販売されているもので、医療機関のものと同じ成分の含まれる医薬品は保険適用外にするというものです。
現在、医療機関で処方される医薬品は保険適用で自己負担が1割~3割になっています。
保険組合が多くを負担しており、2022年の診療報酬改定と、高齢者の増加により、今後も保険組合の負担増が見込まれます。
医薬品の除外が1種類の場合でも37億円の削減ができるとし、削減した費用は今後適用されていく高額な医薬品や、高齢者の医療費負担などに回せるようになっていくとしています。
保険適用外となる医薬品とは?
現在発表されている保険適用外予定の医薬品は以下の種類になります。
これらの医薬品は、市販薬でも医療機関で処方されるものと同成分が含まれているものが多く、種類も豊富に販売されています。
- 風邪薬
- 湿布薬
- 花粉症治療薬
- ビタミン剤
- うがい薬
- 皮膚保湿剤
医薬品保健適用外のメリットとは?
医薬品の一部保険適用外を実施すると、年間2126億円の削減になります。
団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2022年には、高齢者の医療制度への支出が大幅に増えることが予想されます。
そのため、年間の個人の保険料の負担も増加することになり、約5万円の値上がりが懸念されます。
削減した費用を高齢者の医療費にあてることができ、保険料の値上がりが防止できます。
また、近年増加している超高額薬の保険適用も、各保険組合の財政を圧迫している原因です。
例えば、白血病の治療薬「キムリア」は、1回あたり3349万円かかるところ、保険適用で約3300万円が公的保険で賄われます。
今後もこのような超高額薬の認可や保険適用が考えられるので、利用者の負担を減らすためにも、軽症薬に関しての適用外は仕方がないとみています。
自己判断で済ませて病状悪化のデメリットも危惧される
湿布薬は医療機関で処方される医薬品の13%を占めています。
保湿剤は11%、鼻炎薬は6%、そのほか市販薬と同じ成分を持つ医薬品は全体の半数近くに上ります。
それが適用外となり、患者が自分で薬局で購入するということは、症状や病気に関して患者の自己判断に任されるということです。
薬が貰えないなら病院に行かない、ということも十分考えられます。
風邪かと思っていたら重篤な疾患だったり、捻挫だと思っていたら骨の病気だったりということもあるかもしれず、症状が重くなってからの来院にならないかと医療関係者から心配の声が上がっています。
患者の病院離れが懸念されます。
経済的に不安がつのる人も
皮膚保湿薬が美容にいいという事で医療機関を受診し、処方してもらう人が増加して生産が追い付かないというニュースがありました。
その他にも湿布薬や鼻炎薬など、症状が出ていないけれど「心配だから」「いつも使っているから」と慢性的に処方してもらい、使用せずに余ってしまうという人もいます。
そういった人達の分が削減されるということはいいと思いますが、市販薬は高額なので病院でもらいたいという経済的理由のある人には負担になります。
現在、湿布薬は3割負担で96円ですが、同様の成分が入った市販品は2551円、漢方薬は3割負担で303円のところ、市販薬では4644円となり、10倍以上の負担になります。
今後、増税や医薬品の負担など、経済的に余裕がない人はどうしたらいいのでしょうか?
行政の対応が心配されます。
コメントを残す