政府に対するデモが続く香港で、若き社会運動指導者が逮捕されました。
そのうちの一人は、香港で「民主の女神」とも呼ばれる女子大生、周庭(アグネス・チョウ)氏です。
香港ではデモ隊と、デモを鎮圧しようとする政府・警察の衝突が激しさを増しています。
デモ隊が「白シャツ集団」に襲われる事態も起きており、一連のデモ活動の中で、負傷者も多数出てしまいました。
そのような状況で、社会運動のシンボルとなっている周庭氏が逮捕されたということは、非常に重要な意味が出てきますね。
今回の逮捕についてや、香港デモの経緯や現状、今後の見通しをまとめました。
目次
周庭を逮捕、未承認のデモ参加を煽った罪か

出典:日本経済新聞
8月30日(金)の朝、民主派社会団体「香港衆志」のリーダー2名が、香港警察に逮捕されました。
周庭(アグネス・チョウ)氏と黄之鋒(ウォン・ジーフン)氏の2名です。
周庭氏は同団体の創設メンバーでもあり、長く香港学生社会運動のリーダー的な立場にいたことでも知られています。
「民主の女神」とも呼ばれる周庭氏の容疑は、承認されていないデモの参加を煽った罪とされています。
ただし、これは香港衆志がFacebookに投稿した内容であり、香港警察の正式な罪名発表ではありません。
香港警察に逮捕された周庭は日本語Twitterアカウントもある親日家、香港の実情を日本にも伝える
#Eye4HK#EyeforHK#NoPoliceBrutality#FreeFromFear#DemocracyForHK https://t.co/9z0rX2mEEF pic.twitter.com/TBF8OUvLFK
— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) 2019年8月21日
今回香港警察に逮捕された社会運動家、周庭氏には、親日家という一面もありました。
「オタク」文化にも精通し、アニメで身につけた日本語で日本語のTwitterアカウントも開設。
香港のデモ、社会運動の現状などを日本語で、日本にも伝える役割を担っていた人物でもあります。
まだ22歳という若さですが、2012年の反国民教育運動、2014年の雨傘運動の頃から活動を繰り返してきました。
香港の民主化運動のシンボル的な存在として、香港はもちろん、日本でも名前が挙げられるほどの人物です。
香港衆志のリーダー、周庭と黄之鋒逮捕の理由は?
デモが続く香港で、8月30日(金)という日に周庭氏・黄之鋒氏という重要人物2名が逮捕されたことには、非常に大きな意味があると推測されています。
その大きな理由が、香港で8月31日(土)に大規模なデモがあると考えられているためです。
今回の逮捕劇について、このデモを前にした政府・警察側の意図があると考える方が多数いらっしゃいます。
8月31日という日付は、2014年、中国政府が行政長官選挙について、指名委員会の過半数の支持を必要とし、候補を2~3名に絞ると決めた日になります。
2014年、香港の大規模な学生デモ(雨傘運動)のきっかけとなった日で、非常に特別な日というわけですね。
香港政府は、8月31日(土)に予測される大規模デモについて、「緊急令」発動も視野に入れていることを示唆した発言をしていました。
緊急令発動とはいかなくても、デモ隊を抑えるために集会・外出を制限する「公安条例」など、何らかの法律でデモ隊の活動を縛ろうとする可能性が予測されています。
2012年から続く香港の反政府デモ
香港はイギリスから1998年に中国に返還された土地です。
返還後、「一国二制度」による自治が認められてきましたが、「自治」に中国政府が強く関与してきました。
このことに香港市民は強く反発。
特に2012年、中国政府の意図を汲む「国民教育」プログラム実施に対する反発から、デモが繰り返されてきた経緯があります。
2014年には、「真の普通選挙」を求める雨傘運動、そして2019年には逃亡犯条例改訂反対のデモという形です。
中国共産党政府が香港の政治に介入、それに対して市民が民主化を求める構図でしたが、今回2019年のデモでは特に運動が先鋭化しています。
政府反発デモが続く香港、周庭ら逮捕の影響に今後も注目
逃亡犯条例改訂に反対するデモが起こっている香港で、周庭氏ら反政府デモの指導者が逮捕されました。
これによりデモのあり方に変化が起きるのか、それとも、逮捕により一部のデモ隊がさらに過激化してしまうのかが気になりますね。
まずは大規模デモが行われる可能性が高い、8月31日の動向に注目しましょう。
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