美しい肌の条件は、うるおいがあってしっとりとした肌触りであること。でもそれだけでなく、水分を蒸発させないための皮脂が適度にあることも大切です。
お肌の水分はどのくらいあるのが理想なのか?皮脂の量とのバランスは?
美肌を作るためには欠かせない、これらの条件についてまとめてみました。
目次
お肌の水分はどこにあるの?まずはお肌の仕組みを知ろう
「お肌に潤いを」「お肌の水分を守ろう」という言葉をよく聞きますが、そもそもお肌の水分とはどこにあるものなのでしょうか?
お肌の水分は、「角質層」という部分に含まれています。以下の図をご覧ください。
皮膚には「真皮」「表皮」という部位があるのですが、皮膚の表面にあるのは「表皮」。そして、この表皮のいちばん外側にあるのが角質層です。
その上にある「皮脂膜」は、皮膚から分泌されている皮脂の膜のことなので、私たちが普段触れている肌は角質層ということになります。
角質層は、厚さが0.02ミリというかなり薄い膜のこと。顔の外側を、サランラップの様に覆っているのが角質層だと考えてください。
水分が含まれているのは角質層
お肌のうるおいと言われる水分があるのは、この角質層の部分です。
もう少し詳しく説明しましょう。角質層は、以下のもので出来ています。
肌の生まれ変わりである「ターンオーバー」により、必要なくなった(角化した)細胞→角質細胞
角化をしていく途中で生まれたもの→角質細胞間脂質
角質細胞と角質細胞間脂質の関係は、レンガのような形だと考えてください。
レンガの石の部分が角質細胞で、レンガを接着させるために使用したコンクリートが角質細胞間脂質です。
角質細胞間脂質は、角質細胞たちの間に入り込んで隙間をなくし、外のダメージからお肌を守るという重要な役割を果たしています。
外に出ると、お肌はいろいろな刺激にさらされることになりますよね。
角質層に隙間があると、そこから刺激が内部に入り込んでしまいます。それを防ぐために、角質細胞間脂質が角質細胞の間を埋め、バリアの様にお肌を守っています。
この角質層の仕組みと皮脂によって、水分を十分に保った健やかなお肌が維持されているのです。たった0.02センチの薄い皮が、こんなにすごい働きをしてくれているなんて、ちょっと驚きです。
角質層に含まれる水分量は20%から30%
角質層の仕組みが解ったところで、いよいよお肌の水分量に迫りましょう。
健康なお肌の場合だと、角質層には20%から30%の水分があると言われています。ただし、これは全年齢の平均的な数値。
水分量は年齢を重ねるとともに減少していくため、若い人ほどお肌に潤いがあり、年を重ねるほど少なくなっていきます。
若いころはハリのあるお肌をしていても、中高年になると少しずつシワが出てきますよね。水分量が減ってしまうと、それはシワの原因にもなります。
他にもたるみなどの問題を引き起こすことがあり、お肌の水分量が減ることのダメージはかなりのもの。
誰しも年を重ねれば、若いときのままではいられません。その年齢の中でお肌の美しさを守るためには、水分量を意識してお肌にいいケアをしていく必要があります。
年齢別の理想的な水分量は、以下の数字を目安にしてください。
- 年齢にかかわらず「とても潤っている」と判断できる数値…47%
- 赤ちゃんのお肌の水分量…50%以上
- 20代女性の理想の水分量…42%以上
- 30代女性の理想の水分量…37%以上
- 40代女性の理想の水分量…できれば37%以上
あなたのお肌の水分量はどのくらいですか?
もし理想の水分量に達していない場合は、これからより良質なケアが必要かもしれません。
お肌の水分量はどうやって調べるの?
お肌の水分量は、以下の方法で調べることができます。
コスメショップで診断してもらう
一番手軽に、そして正確な水分量を知る方法は、デパートやショッピングモールにあるコスメカウンターで、お肌の状態を調べてもらうという方法です。
どこのショップでもほとんどが無料でやってくれるので、ここで水分量を調べてもらっているという女性は多いようですね。
方法も簡単で、お肌にチェッカーを当てるだけ。時間はほとんどかかりません。
それだけで、水分量をはじめキメの細やかさまで診断してもらうことができます。水分量だけでなく総合的なお肌の状態を知りたいという方にもぴったり。
こうしてお肌の状態を知っておけば、自分のお肌に合ったスキンケアアイテムを選びやすくなります。
これからお肌のケアを頑張りたい!という女性は、コスメカウンターで診断を受けてみると、ケアの方向性が解りやすくなりますよ。
スキンケアチェッカーを使ってみる
コスメカウンターは緊張してなかなか行けない…という人は、スキンケアチェッカーを使いましょう。
スキンケアチェッカーとは、お肌に当てるだけで水分量をチェックしてくれる便利アイテム。
油分をチェックしてくれるものもあるそうなので、ひとつ持っておけば自宅で簡単に今のお肌の状態を調べられます。
コスメカウンターよりも細かく肌の状態をチェックできるため、よりしっかりとお肌の水分量を把握できます。
価格は、安いもので2000円前後から購入が可能。機能を良く調べて、自分が使いやすいと思ったものを選びましょう。
お肌の水分量を上げるための方法とは?
いざお肌の水分量を調べてみたら、「思ったよりも乾燥していた…」とショックを受けることもあるはず。
一見潤いがあるように思えるお肌でも、インナードライということもあるので、調べた結果に落ち込む女性は少なくありません。
結果が良かった女性でも、その状態を維持していくためには毎日のケアが必要です。
どうやってお肌の水分量を上げていくのか?または守っていくのか?
すぐに実践できそうな方法を紹介します。
正しい洗顔方法で顔を洗うこと
毎日必ず、朝と夜に行う洗顔。この洗顔が、お肌の水分量を上げる大きなポイントになります。
というのも、洗顔をしていても「間違った方法でやってしまっている」という女性が、意外なほどに多いのです。せっかく顔を洗っても、それが間違った方法であれば乾燥肌の原因になるので、注意しなくてはなりません。
自分の洗顔が正しいかどうか、もう一度見直しましょう。
健やかなお肌を守るためには水分量が重要ですが、水分が蒸発しないようにキープしてくれるのは角質層を包む皮脂膜です。
皮脂膜は天然のクリームと言われる保湿成分であり、皮脂の量が適度なものかどうかが保湿に大きく関わってきます。
理想的な割合は、水分が8割に対して皮脂が2割。この割合を守るためには、余分な皮脂を落とし、必要な皮脂は遺せるような洗顔が必須です。
そのためには、正しい洗顔方法を身につけなければなりません。
→洗顔方法のページへ
洗顔で注意したいのは、きちんと泡立てているかどうか。泡立てず、手のひらでこするようにして顔を洗ってしまっていませんか?
多くの洗顔料は、泡立てて使うことを前提につくられているため、それをしないと本来の力を発揮できません。お肌を綺麗にするどころか、乾燥肌の原因を作ってしまうこともあるのです。
泡を作って洗うことの重要性は、こちらのページで解説しています。
→必見!石鹸の泡立てネットの使い方~泡がふわっとしているだけではダメ?
毎日の洗顔は、潤いとハリのあるお肌づくりの基本です。
保湿成分「セラミド」を意識しよう
お肌の保湿を意識するなら、ケアの中にセラミドを使ったスキンケアを取り入れましょう。
セラミドは今大注目の美容成分ですが、それにはちゃんと理由があります。
セラミドは、上で述べた「角質細胞間脂質」を構成する成分のひとつ。
「角質細胞間脂質は、レンガ同士をくっつけるコンクリートのような役割を果たしている」と書きましたが、このコンクリートはクッションの役割も担っています。
そのクッションが、実はセラミド。セラミドは細胞の間で緩衝材となりながら、水を蓄えるという重要な働きをしています。
美容成分としてセラミドの重要性が挙げられるのは、このセラミドが水を蓄える=保湿の役割を果たすため。
潤いのあるお肌を作るには、このセラミドの量が十分にあるかどうかがとても重要なのです。
その証拠に、お肌の水分が50%以上ある赤ちゃんのお肌は、セラミド量が最も多い時期。セラミドを多く持っているからこそ、赤ちゃんのお肌はとってもツルツルでもっちりしているのです。
しかし、加齢とともセラミドは減少してしまうため、美肌を保つためには少しでも量を維持するようなケアが必要です。
セラミドのこのような働きが広まり、現在はセラミドを含んだスキンケアアイテムがたくさん販売されるようになりました。
お肌のより高い保湿力を目指すなら、セラミドを取り入れてみてはいかがでしょう?
セラミドと一緒に摂取したいヒアルロン酸
保湿成分と言えば、ヒアルロン酸も有名ですよね。ヒアルロン酸は、1グラムで6リットルもの水を蓄える高い保水パワーを持っています。では、同じく保湿の力を持つセラミドとは何が違うのでしょうか?
セラミドとヒアルロン酸は、肌の中で含まれる場所が異なります。
- セラミド…表側のいちばん外側にある角質層に含まれている(角質細胞間脂質)
- ヒアルロン酸…表側の奥にある真皮に含まれている(ムコ多糖類)
肌に近いところにあるのがセラミド、深いところにあるのがヒアルロン酸と考えると解りやすいです。
似たような働きをもつ二つの成分ですが、働く場所が異なります。ヒアルロン酸は肌の奥で、セラミドは肌の表面で保湿をしてくれるからです。
セラミドとヒアルロン酸、どちらが欠けても潤い・ハリのあるお肌を保つことはできません。セラミドと一緒に、ヒアルロン酸もお肌に足してあげられるようなケアを目指せば、より良いお肌の保護ができる可能性が高まるかも。
ヒアルロン酸は洗顔料に含まれていることもあるため、スキンケアと合わせて取り入れる方法もありますよ。
→どろあわわへ
ヒアルロン酸も、年齢と共に数が減少していく成分です。スキンケアだけでなく、日常の色々な場所で保湿成分を取り入れていきましょう。
やっぱり食生活が大事!バランスのいい食事を心がけよう
水分がたっぷりとある美肌を目指すためには、バランスのいい食生活も大切です。
スキンケアでお肌の外側からケアをしてあげることはとても大事ですが、健康にいいものを食べて体の内側から綺麗にするというのは美肌の基本。
日ごろから、肉・魚・野菜のバランスが整った食事をすることを心がけましょう。
よく「お肌にいい食べ物」と一覧が紹介されることがありますが、一番いいのはそればかりを食べ続けることではなく、多くの食材をバランスよく取り入れることです。
お肉なら、鶏肉・豚肉・牛肉をバランスよく食べること。そして魚も、焼き魚・煮魚・お刺身など調理法を変えて、献立の中に取り入れましょう。
バランスのいい食事をとるための秘訣は、レシピをたくさん覚えることです。
特に野菜のレシピのバリエーションを持っておくと、副菜で野菜をたくさんとれるようになるので試してみてください。あとは、毎日スープを飲むようにすること。
温かいスープは体が温まりますし、野菜をたくさん入れることができるので、手軽に栄養を摂取できていいです。
生活の中に適度な運動を取り入れましょう
なかなか続けることが難しい運動ですが、運動も水分量の多い美しいお肌を作るために欠かせません。
というのも、適度な運動は新陳代謝を活発化させてくれるため、お肌のターンオーバー(生まれ変わり)を正しいものに導いてくれるのです。
運動には、体の血行を良くしてくれる効果があります。血行が良くなると、新しく健康なお肌をつくるために必要な栄養素が体の隅々まで行き渡り、ターンオーバーのときに古い角質が綺麗に剥がれ落ちます。
一方で、血行が悪くなってしまうと、お肌の生まれ変わりに必要な栄養が必要なところにいきわたりません。
そうすると、ターンオーバーが正常に行われなくなったり、剥がれ落ちるはずの角質が残ってしまったりとトラブルの原因を作ってしまいます。
もちろん、このようなトラブルはお肌の水分量を低下させることにもつながります。
週に2~3度の割合で1時間歩くか、その時間がない場合は生活の中で歩く時間を増やしていきましょう。
無理をすると続きませんので、続けやすいように行うことが大事です。
いい睡眠をとれていますか?良質な睡眠をとることも大事です
綺麗なお肌を作るなら、睡眠の質はとっても大切。睡眠がきちんととれていないと、肌のターンオーバーが正常に保たれなくなることがあります。
人の肌の表面には「表皮」という層があることを説明しましたよね。
お肌のもととなる細胞はこの表皮の奥の方で生まれ、時間をかけて外側へと移動していき、最終的に角質層へとたどり着きます。そのお肌は古くなると剥がれ落ち、新しいお肌へと生まれ変わります。
この期間が「ターンオーバー」。綺麗なお肌を維持するには、このターンオーバーが正常に行われなくてはなりません。
ターンオーバーは大体28日周期で行われ、しかも活発化するのは夜。お肌の生まれ変わりを促すためにも、生活習慣を整え、夜には十分な睡眠をとりましょう。
いい睡眠をとるための工夫は、とっても簡単。寝る2-3時間前には、スマホやテレビ・パソコンを消してブルーライトを見ない。部屋は暗くすること。明るい部屋は、脳の動きを活発化させてしまいます。寝室の温度調整を適度なものにしておくことも大切です。
暑すぎても寒すぎても、睡眠の途中で目が覚めてしまう要因になるので気をつけましょう。夏場なら27度前後、冬なら20度前後になるよう、空調を調整することをお勧めします。
寝る時間の2~3時間前に食事を済ませましょう。胃が消化を続けていると、脳も働き続けるために眠りにくくなります。
とにかく、心と頭を休める努力をすることが大事ということですね。良質な睡眠をとることは、心の健康にもいいこと。寝る前は穏やかな空間を造り、眠りに落ちやすい工夫をしましょう。
年齢とともに減少していく水分量を守ろう
綺麗なお肌とは、みずみずしさと明るさがあるお肌のこと。そのお肌を守るには、年齢と共に減少する水分量を維持していけるような、日常での努力が必要です。
洗顔の方法からスキンケア・そして生活習慣まで、お肌のために見直しをしてみませんか?
生活習慣の改善は、健康な体と心を作るためにも大切なことです。綺麗なお肌は、健やかな心と体からできるものでもあるので、心身の調子を良くしてお肌につなげるという考え方もできますね。
美しいお肌は、私たちが日々口にするものや習慣から生まれるものであること。そのことを踏まえた上で、毎日コツコツとお肌のケアを積み上げていきましょう。
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