『相棒 season17』第3話のネタバレ・感想。「常識が産んだ非常識な殺人」

相棒 season17

シーズン17に突入した「相棒」、期待の第三話が放送されました。

今回の話は、相棒seoson1にも登場した森本レオさんが登場。あの時の右京さんの相棒は薫ちゃんでしたが、古くから相棒を見ているファンにとっては見逃せない回となりました。

前に出演された森本レオさんが再び!ということもあってか、今回のお話は亀山薫が相棒だた時代を思い出させるような、人の心理を丁寧に描いた回となりました。

怒涛の展開となった第三話のあらすじ・感想をお届けします!

「相棒season17」第3話のネタバレあらすじ

人気の辞書「千言万辞」の編集者が殺された

今回の物語は、公園でとある男性の遺体が発見されたことから始まります。

殺されたのは、文礼堂という出版社で辞書の編集を手掛けている男性・中西茂。遺体にはいくつかの刺し傷があり、駆け付けた伊丹・芹沢刑事の二人が状況を確認していました。

そこに、いつものようにふらりと現れた右京、そして冠城。事件があるところに特命係あり。

右京は、殺害された中西が編集で関わっていた辞書の存在に目を付けます。

辞書の名前は「千言万辞」。奇しくも、右京が寝る前に読んでいるという辞書が「千言万辞」でした。

辞書を読むという発想に呆れる伊丹と芹沢でしたが、右京は二人に「千言万辞」のことをこう説明します。

右京「辞書によって、見出しも語釈(言葉の解釈・説明)も全く違います」

右京「文礼堂さんからはふたつの辞書がでていますが、『文礼堂 国語辞典』は学習辞書、『千言万辞』はひくのではなく読むための辞書と言われていますねぇ」

右京曰く、

★「千言万辞」はただ言葉の意味を解説しただけの辞書とは違い、独自の解釈と表現で意味を伝える辞書

★時には詩のような表現で意味を解説している

という、異色の辞書とのこと。

右京のウンチクに付き合っていられない、とその場を去る捜査一課コンビ。

残された右京と冠城は、改めて殺害された中西の遺体を確認しました。

中西の遺体には、いくつもの傷が。

冠城「こんなに刺して、相当憎んでたんですかね」

右京「いや、それにしては浅い傷もあるようです」

右京が言った通り、傷には浅いものから深いものまでいくつかの種類がありました。恨みの勢いで刺すのなら、どれもが深い傷になっているはずです。

鑑識「感情で刺したっていうより、一度じゃ致命傷にならなかったから、何度か刺したという感じ」

鑑識「(凶器は)鋭利な刃物じゃない。ペーパーナイフだ」

凶器が刃物ではなく、ペーパーナイフであることに驚く冠城。

冠城「なんでわざわざ、それを」

右京「それも、気になりますねぇ」

いよいよ特命係が動き出します…。

特命係、文礼堂へ行く

右京と冠城は、殺害された中西が勤めていた文礼堂出版へ。

二人が訪ねたのは、中西が所属していた辞書編集部の部長・和田利宏。中西の上司にあたる人物です。

中西が殺害されたことに驚く和田でしたが、遺体の発見現場を聞いてさらに驚愕します。

和田「昨日中西が、そこで先生に会うと電話して出て行ったので…」

先生というのは、「千言万辞」の主幹を務める大鷹公介です。

通常、辞書は掲載する言葉を何人かで分担して解説しますが、「千言万辞」に関しては大鷹一人で行っていたとのこと。あの分厚い辞書に乗っている言葉の意味は、すべて大鷹一人で解説を考えていたわけです。そのことから、大鷹は「辞書の神様」と呼ばれ一目置かれる人物でした。

しかし、その大鷹の担当をしていた中西は不満を抱えていたと和田は言います。

★大鷹はこだわりがつよすぎて、作業が遅れることもしばしば。

★だから大鷹を主幹(中心となって作業をする人物)から外したい。代わりに、「千言万辞」を大鷹と共同で作り上げている国島弘明を主幹にしたい。

★中西は、辞書の厚みを変えたり収録語を増やしたり、今風の装丁に変えることに積極的に取り組んでいた。

それを聞いた和田は、出版を控えているという立場から中西の訴えを受け入れるしかなかったと言います。

中西は、そのことを大鷹に伝えに行っていたのでした。

辞書の神様・大鷹公介

文礼堂を訪れた帰り道、冠城は女子高生のスカートの中を除こうとしているらしい老人を発見。

その場で取り押さえてみると、偶然にも彼が大鷹公介でした。

大鷹は痴漢行為をしていたのではなく、女子高生の会話から辞書に掲載する新しい言葉を探そうとしていました。右京が見た大鷹のメモには、「マジマンジ」「エンカン」など、今流行の言葉がずらりと並んでいます。

辞書を作る人が嫌い言葉ばかりだ、という冠城に、大鷹は反論します。

大鷹「言葉というのは、石ころみたいなもんなんだよ」

大鷹「最初は手触りが悪いが、使い込んでいくうちに角がとれて光輝いていくものなんだ」

大鷹の柔軟な発想に感動する特命係。

ひょんな偶然から、二人は大鷹公介に出会うことができたのです。

二人は、大鷹と一緒に彼の自宅を訪れました。

事務所でもあるそこには、大鷹のもとで契約社員として働く女性の姿が。女性は辞書に載っていない新しい言葉を調べるなどの手伝いをしていました。

毎日読むという全社の新聞と、切り抜いたら裏が読めないという理由で二冊ずつ購入するという雑誌の山に驚く冠城。女性は、中西が殺された昨晩は友達と買い物をしていたと証言。

その傍らには、大学教授の仕事と掛け持ちをして大鷹を手伝う国島の姿も。中西が、大鷹の次に主幹にしたいと考えていた人物です。

国島は、教授の仕事は論文を書くことだと語り、辞書の仕事にはそこまで重きを置いていないという風情。しかし、そこに右京が突っ込みます。

右京「では、第三版の時には本業の方がお忙しかったんですね?」

国島「え?」

右京「そのときだけ、巻末に国島さんの名前がありませんでした」

国島は、その右京の問いに頷きました。辞書の改定は七年おきで、これだけでは食べていくことはできない。やっていけるのは大鷹先生だけだと。

右京はさらに切り込みました。

右京「大鷹先生は『千言万辞』に専念するために、大学教授をやめられたとか」

大学教授として安定した生活を選んだ国島とは違い、大鷹は過去に教授を辞めてまで千言万辞にこだわっていたようです。国島は、中西が殺害された日はずっと大学にいたと主張。

二人は、昨夜の晩にこの家にいたのは大鷹と家政婦の二人だったことを突き止めました。

特命係が気になっていたのは、中西が大鷹を呼びだすためにかけた電話を誰が取ったのか?でした。

編集長の和田が、中西は電話で大鷹を呼びだしたと言っていたからです。

それを大鷹に問うものの、本人はスルーして作業に没頭。特命係を見ようともしません。冠城がもう一度話しかけても、イマイチ話が噛み合わないまま…。

事務所の女性が助け船を出し、「おそらく電話に出たのはお手伝いさんだろう」と教えてくれたときも、大鷹はその会話が耳に入っていない様子。新しい言葉が書いてあったペットボトルを捨てた国島を叱るのみ。

大鷹は中西が殺されたことよりも、新しい言葉への興味や表現の方法に興味があるようです。

どこか異様な空気が漂う中、契約社員に貰った饅頭を机の前で頬張る大鷹。そこで右京は、大鷹の机の上にペーパーナイフがあることに気づきます。そのペーパーナイフは、20年以上前に作られたものでした。

右京「おや、20年以上前のものも大切にされていらっしゃるのですね」

右京「他にもペーパーナイフがあるようですが、これすべてお預かりさせていただいてもよろしいでしょうか?」

大鷹は饅頭を食べながら、「いいよ」と軽く頷いて了承。右京に促された冠城が、ペーパーナイフを預かります。

殺された中西と大学教授・国島の秘密

大鷹から預かったペーパーナイフを鑑識に回したところ、大西の遺体にあった傷とぴったり一致することが判明。

しかし血液反応はなく、指紋も検出されずじまいと言う結果に。

冠城は、中西殺害の凶器と考えられるこのペーパーナイフが、デスクに無造作に置いてあったことに不自然さを感じていました。

そこにやってきた捜査一課コンビ。

捜査一課コンビは、中西のスマホにあったラインの復元作業を鑑識に頼んでいました。

復元されたラインの会話は、国島との間で交わされたもの。

そこには「千言万辞」の現行締め切りが迫っていること、関係者に待ってもらっているのでできるだけ早くに提出してほしい旨と共に、「以前からお話ししていた通り、序文は国島さんにお願いしたい」というメッセージがありました。国島もそのつもりだと返信しています。

右京「序文は当然、主幹が書くものですね」

冠城「裏ではとっくに、主幹交代の話が進んでいたってことですよね」

そう、このラインの内容を信じれば、中西は大鷹に主幹を外れてほしいと話す前に、国島の方に新しく主幹になってもらう手はずを整えていたことになります。

さらに右京は、国島が千言万時の三版目に関わっていないことへの疑問を口にしました。

初版・二版と関わっていた国島が、三版目には名を連ねていません。なのに、今回出版される四版目には再び戻ってきているという不自然さ…。

伊丹「横取りするために、もどったのかもしれねえな」

伊丹の言葉が、やけに重く響きました。

辞書の常識と常識外れと

この流れを受けて、再び文礼堂の和田を訪ねる特命係。

主幹交代の成り行きについて、もう一度話を聞くためでした。

和田は、大鷹と国島の関係の難しさを口にします。

和田「正直、微妙なものがあります。大鷹先生は世間の知名度は高いですが、学会ではあまり…。言葉集めなんて素人にでもできると下に見られていたようです」

和田「学者は学会での評価がすべて。だから、先生は一回りも下の国島さんに抜かされて、立場がなかったんです。大学教授をやめたのも、辞書に専念するためだと言っていますが、実際には逃げたのだろうと…」

辞書を作るときは大鷹を手伝う国島でしたが、学会での二人の立場は完全に逆だったようですね。

国島が三版目の千言万辞に関わらなかったのは、つまり大鷹が大学教授を辞めて国島から逃げたことが関係していたようです。

しかし、それだと「どうして四版目の今回に再び国島が戻ってきたのか」という疑問が残ります。

右京「主幹交代のお話が、最初から?」

右京は、「主幹を国島にする」という約束があったこそ、国島は戻ったのではないか?と指摘。和田はそれに対し「解りません」と首を横に振るだけでした。

ここで唐突に、「千言万辞」を読んだという冠城。冠城が特に気に入ったのは「常識」の解説でした。右京が、その解説をすらすらと口にします。

右京「(常識とは)平凡でつまらない価値観。新しいものを拒む頭の古い考え。今これを読んで不快に感じているあなたのこと」

それを聴いた和田は笑顔を見せます。

和田「千言万辞は、文礼堂国語辞典のアンチで書かれていますから。まさに、常識はずれが売りで」。

いわゆる「常識」に沿って作られた辞書が「文礼堂国語辞典」。

それを揶揄するかのように、型破りな手法で作られたものが、「千言万辞」。

文礼堂から出版されている二つの辞書は、実は相反する関係にありました。

同じ出版社から出ている常識的な辞書と、常識はずれな辞書…。

辞書のために捨てた「まともな生活」

二人は再び大鷹さんお家へ。

前に訪れたときに会うことができなかった、お手伝いさんの女性に会うことが目的です。週に三度ほど大鷹さんのお手伝いをするというこの女性、今回は会うことができました。

そして、やはり中西からの電話を受けたのはこの女性でした。

お手伝いの女性「今から会社を出るから、一時間後に会いたいって…」

電話の内容には、特に不審な点は見受けられなかった様子。

そこで右京は、大鷹の普段の様子をお手伝いさんに聞いてみることにしました。

お手伝いの女性「(大鷹とは)話しませんね。なるべく黙っています」

お手伝いの女性「いつだってメモ片手にいますし、何かが興味を引いて、それは何だ?どんな意味だ?って質問攻めにされたら大変ですよ」

お手伝いの女性「辞書というのは、偉い先生がまともな生活を捨てないと作れないものなんですね」

最後の言葉に、冠城は引っかかるものを感じたようでした。

冠城「まともな生活を捨てる…?」

そこまで話したところに、捜査一課コンビと国島がやってきました。いつものようにひと悶着ありつつも、捜査一課と国島を加えた5人でお手伝いさんの話の続きを聞くことに。

お手伝いさんによれば、大鷹は妻と子供に逃げられた過去があるとのこと。言葉集めに夢中になってしまうと、お風呂だろうがトイレだろうが何時間でも籠ってしまう大鷹に、妻子が愛想を尽かしたということでした。

国島は、言葉集めは大鷹の唯一の趣味であり、現在では辞書に載せる必要もない言葉まで集めだしていると言いました。ただ、言葉にとりつかれただけだと。国島も大鷹の行動をよく思っていないようでした。

右京は、そんな国島がどうして四版目にしてもう一度大鷹と組むことになったのか?と尋ねます。

国島「行きがかり上」です」

伊丹「主幹交代の密約があったからでは?」

国島「行きがかり上です」

微妙な回答。そのとき、お手伝いさんが思い出したように国島に尋ねました。

お手伝いの女性「そういえばありました?一昨日(中西が殺害された日)にあたしが帰るところにひょっこり来て、なんかないとかおっしゃっていたじゃないですか」

国島は、「中西が殺害された日に何をしていたか」という問いに「終日大学にいました」と答えていました。

なのに、実際には大鷹の家を訪ねて探し物をしていたことになります。

疑いの目を向ける特命係に、「帰りにちょっと立ち寄っただけのことも言わなければならないのか」と激怒する国島。

伊丹「変に、疑われたくなければ」

捜査一課の二人は、既に国島が犯人だと考えているようです。

その時、家の中から大鷹が癇癪をおこす声が。大鷹は、最近になりよく癇癪を起すようになっているとお手伝いの女性がため息をつきます…。

尋常ではない大鷹の様子。いったい何があったのでしょう?

釈然としない国島の自供

特命係の部署に戻り、あらためて中西のスマホにあったラインの記録を確認する冠城。中西は仕事の話をほとんどしていません。仕事熱心とは言い難いと考える冠城。

また右京は、別の疑問を抱えていました。

右京「ずっとSNSのツールを使ってやり取りをしていて、そのツールを使って電話もしていた。なのに、なぜあの夜だけは仕事場の電話を使って呼びだしたのでしょう」

大鷹を呼び出すときに、中西がどうしてスマホではなく会社の電話を使ったのか。右京はそれが気になっていたようです。主幹交代の話は、誰かに聞かれては困る話のはず。なのに、会社の電話を使えばそれだけ人に聞かれる可能性も高くなるでしょう。

二人が頭を悩ませているところに、青木が登場。

なんと、捜査一課が被疑者として国島を引っ張ってきたという情報を二人に伝えます。

中西が殺害された公園から国島が出てくるところを、通りかかった車のドライブレコーダーが捉えていたとか。事件は大きく動き出しました。

当然のことながら、捜査一課は国島を取り調べます。

公園にいたのは気分を変えたかったからだという国島ですが、捜査一課では大学にある国島の机の引き出しから、血液反応があるペーパーナイフを押収していました。

さらに、芹沢は「千言万辞」の表紙になるはずだった装丁を国島に見せます。そこには、国島の名前ではなく大鷹の名前が…。中西が大鷹に約束していた「主幹交代の密約」は、破られていたことになります。

芹沢「これを目にしたあなたは、中西さんに裏切られたと思った。違いますか?」

芹沢の追及に、国島はとうとう「そうです」と認めます。

国島「中西は、私の名前ではネームバリューがないから表紙なんてありえないと…」

伊丹「主幹という言葉に取りつかれていたのは、あなただったようですね」

国島が自供したことで、無事に事件解決…というところなのですが、どこか釈然としないものを感じる特命係の二人なのでした…。

右京「もし国島さんが犯人ならば、なぜわざわざ家に立ち寄ってさちえさん(お手伝いさん)に診られてしまうような真似をしたのでしょう?」

冠城「じゃあ、国島さんは誰かを庇って…?」

事件はまだ終わったわけではないようです。

大学にある国島の机を見る特命係の二人。

なぜ血がついたペーパーナイフをここに置いておいたのか…。どんどん広がっていく疑問。こんなところにおいておいたら、見つけてくれと言っているようなものですからね。

部屋を歩き回っていた右京ですが、ふとゴミ箱の中にある紙が気になりました。

右京「(紙を拾い上げて)バズる」

右京「もう一枚拾い上げてバズる」

冠城「バズる…」

捨てられていた紙に書いてある言葉は、すべて「バズる」という同じ言葉。

そしてそれは、まぎれもなく大鷹の筆跡でした。

大量に捨てられたメモを見ているうちに、右京と冠城はある可能性に気づきます。それまで伏せられていた、大鷹のある秘密のことを…。

大鷹と国島、それぞれの秘密

大鷹の家を訪ねる右京と冠城。

大鷹を訪ねたものの、彼は本の確認をするために印刷所に呼びだされていました。

そのまま大鷹の家に入った二人は、大鷹の机に貼ってあるピンクの付箋を見つけます。

★テレビの付け方

★電子レンジの使い方

★帰ってきたら携帯を充電しておくこと

生活に必要な指示が、そのメモのひとつひとつに描かれていました。このメモが表すものとは?どうやら、二人の勘は当たっていたようです。

警視庁に戻り、二人は交流されている国島と面会。

国島に差し入れの饅頭を差し出した右京は、最初に大鷹と会った日のことを話しはじめます。大鷹は、右京たちが訪ねた部屋の中で饅頭を3つも食べていました(↑に戻って振り返ってみてください)。

右京「(大鷹)先生は、甘いものは好きではないと何かの記事でお見かけしたのですが、味覚は変わるそうですから」

右京「例えば、病気などすると」

驚く国島。

続けて右京は、国島の胸中を推理。

右京「(大鷹に対して)地位や肩書から離れて、自分の好きなものに人生を捧げる。立派な生き方です。

しかしなかなか、そう思いきることはできません。だからこそなおさら、癪に触ってしまう」

大鷹を嫌っていたと思われていた国島は、実は彼の生き方に羨望と妬みを持っていたことが明らかとなりました。

それでも国島は、誰もができることではない「辞書に人生を捧げる」という生き方を選んだ大鷹を支えようとしていたのです。

そこにやってきた冠城が、衝撃の報告。

大鷹が「自分が中西を殺した」と自首してきたのです。

大鷹はたどたどしい話し方ながらも「大鷹に電話で呼び出されて、主幹交代の話をされ、用意したペーパーナイフで殺した」と語ります。最期は発狂する大鷹。

伊丹と芹沢が大鷹を押さえる仲、右京は大鷹が落としたメモを拾い上げ、じっと見つめるのでした。

国島のもとへ戻った右京は、大鷹が自首してきたことと入院したことを伝えました。

次に、先ほどは口にしなかったある事実を述べます。

右京「(大鷹は)アルツハイマーですね」

これまでの大鷹の言動を見れば、アルツハイマーの可能性が高いことは明らかでしたよね。

大鷹がアルツハイマーだと知っていたのは、国島と事務所で働く契約社員の女性のみ。身の回りの世話をするお手伝いの女性にさえ、隠していました。

どうして隠したのか?それは、大鷹がアルツハイマーだと知られれば、「千言万辞」の四版目が出版されない可能性があったためです。大鷹と国島が二人で作り上げた、大切な四版目が。

しかし、編集の仕事をしていた中西は「大鷹がアルツハイマーである」ということに気づいてしまいました。主幹交代の話を彼が持ち出したのは、大鷹がアルツハイマーだと知ったからなのです。

国島の主幹の話は、あくまで無事に出版にたどり着くまでの中継ぎ。出版は最初から大鷹の名前でされる予定でした。

大鷹の病院についている伊丹と芹沢に、冠城は大鷹が落とした先ほどのメモを見せました。そこには、大鷹が供述した殺人の動機がそのまま書かれていました。

自分で書いた殺害動機を丸暗記して供述したのか。

それとも、殺害したことを思い出して忘れないようにメモをして、供述したのか。

大鷹が殺害動機をメモした理由はどちらなのでしょうか?

国島が守りたかったもの

再び国島に会いに行く右京。

右京「あの日は(国島は)休みでしたが、心配になり大鷹の様子を見に行ったあなたは、呼びだされたと聞いて不安になった」

中西が殺害された日に国島が大鷹の自宅に寄ったのは、大鷹をしんぱいしていたからだったのです。そしてお手伝いさんから大鷹が呼びだされたことを聞かされた国島は、中西と大島の待ち合わせ現場に駆け付けます。

そこで、公園のベンチに一人で座っている大鷹を発見。

国島はそこで大鷹を連れ戻そうとしますが、傍らに中西の死体が転がっていることに気が付きました。

「大鷹が中西を殺害した」、国島はそう確信します。そして大鷹を守るために、ある決意をしました。

右京「あなたは(大鷹が殺害したことを)隠し通すことに決めた」

国島「違います!」

否定し続ける国島。それでも右京は止まりません。

右京「先生のペーパーナイフを持ち去り、自分のものとすり替えた」

国島「違います!」

右京「先生を庇うために」

国島「先生と私の辞書を守るために、私がやりました!」

国島は口を割りません。

一方の冠城は、大鷹の家で契約社員の女性と話をしていました。もっと早くに大鷹がアルツハイマーだと話していれば、と謝罪する女性。

二人は大鷹の机の上を見ていましたが、女性は青い付箋がたくさんついた紙の束を手に取ります。それは、千言万辞の原稿でした。

女性曰く、まだ既定のページ数より30ページも多いらしく、作業が残っているとのこと。

女性「でも、もう青だけですから」

冠城「青だけ?」

女性「青は、もっと内容を削れますと言う印なんです。赤は要検討」。

冠城は、青い付箋ばかりのその原稿を見て、何か思うことがあったようです…。

その後に女性と二人で病院に移動した冠城ですが、そこで目にしたのは大鷹がいないからっぽのベッド。入院していたはずの大鷹は、どこかへ消えてしまいました。

「常識なんかに」

大鷹の行方不明を知った冠城は、慌てて右京に連絡。

大鷹の失踪を知った右京は、国島に「病院を出て左を探してください」と告げます。

病院を飛び出し、右京の言う通り左側に走った冠城は、電車が通る寸前の踏切内に入ろうとしている大鷹を発見。慌てて大鷹を捕まえ、踏切から遠ざけました。

https://twitter.com/GTYUUyZx5sfXpuQ/status/1057989073980125184

間一髪で助かった大鷹は、「警察に行こうとしていた」と発言。直後に駆け付ける右京。

冠城「どうして左だと解ったんですか?」

右京「行くべき方向が解らないとき、本能的に左に曲がる人が多いそうです」

右京の知識が、大鷹を救いました。二人の前で、大鷹は悔しそうにつぶやきます。

大鷹「どうしてこんな負け方…常識なんかに…」

「常識」。

冠城が「千言万辞」を読んで感動した解説の言葉も、「常識」でしたね?

右京「常識に、負ける」

冠城「気になる言葉ですね」

二人は事件の真実へと近づきつつありました。

「常識」を愛した真犯人~その正体とは?

文礼堂の一室で、一人で「千言万辞」の原稿をダンボールに放り込む人物がいました。もうこの原稿は要らないとばかりに…。

冠城「早まらない方が良いですよ」

冠城「また、すぐに資料が必要になります」

冠城の言葉に「どういうことです」と振り向いたのは、和田でした。殺害された中西の上司である、あの和田です。

辞書の大手と言われる文礼堂でも、時代の流れに逆らうことはできなかった。

その証拠に、文礼堂から出ている「文礼堂国語辞典」と「千言万辞」のうち、「文礼堂国語辞典」の方はなくなることが決定していました。

右京はそこで、大鷹のメモ帳を取り出します。大鷹が殺害動機を書いた、あのメモです。

今の大鷹の状態を見ても、自分の行動を思い出して書き留めるということは出来ないだろうと右京は指摘。

メモに書かれたその殺害動機は、誰かに吹き込まれたものをメモしたものではないか?と推理していました。

右京「犯人は最初から先生を利用するつもりでいた」

右京「(大鷹の)病気に気づいていることを隠し、先生を操ろうとしたんですよ」

動揺する和田。

和田「まさか、それが私だと?」

右京「ええ、そうです」

中西を殺害した犯人は、大鷹でも国島でもなく、和田でした。

辞書を愛し、辞書の出版に力を注いでいた和田が、どうして「辞書の神様」と呼ばれる大鷹を利用し、部下の中西を殺したのでしょう。

冠城「(殺害の動機は)辞書を愛していたからです」

冠城「ただし、千言万辞ではなく、文礼堂国語辞典を」

辞書を愛していた和田でしたが、彼が本当に愛していたのは「邪道」を行く千言万辞ではなく、「辞書の常識」を貫いて作成された文礼堂国語辞典の方でした。

和田が文礼堂国語辞典を愛していたことは、この辞典の原稿を見ても明らか。

和田一人だけが「要検討」の場所に使われる紅い付箋をたくさん使っていたからです。「短くする」という意味の青い付箋より、より大変な「要検討」の赤い付箋をたくさん使っていることは、思い入れが強い何よりの証拠です。

右京「あなたは、この辞書(千言万辞)の存在そのものが許せなかった」

右京「そのときにあなたは、先生の異変に気付いたのです」

国島と女性職員が隠していた大鷹のアルツハイマー病に、和田は気付いていました。

大鷹がアルツハイマーだと明るみになれば、大鷹が作っている宣言万辞は出版中止となるでしょう。そうすれば、和田が愛した文礼堂国語辞典は千言万辞に勝てる。

「分礼堂国語辞典」を守るために、千言万辞を潰したい。これが和田の狙いでした。

★和田はどうして中西を殺した?

和田は、中西に大鷹が飲んでいた薬を確認させました。中西は言われたとおりに薬を調べ、それがアルツハイマーの薬だと突き止めます。

これで大鷹の病気を確信した和田は、すぐに千言万辞の出版を差し止めようと中西に言います。が、中西は和田に従いませんでした。

中西「いや、国島さんを主幹を引き継いでもらうつもりです」

中西は、出版を差し止めるという考えではなく、主幹を国島に変えて出版すればいい、という考えでした。これまでに、国島に裏でいろいろ動いてもらっていることも明かし「今更出版を辞めることはできない」と和田に反発。

そして中西は、言ってはいけない決定的な一言を言ってしまいました。

中西「(文礼堂国語視点を復刻しても)どうせ売れないだろうし」

和田が何よりも愛していた「文礼堂国語辞典」を、中西は「どうせ売れない」とバカにしました。これが和田の殺意に火をつけてしまいました。

怒る和田に、中西はうんざりした顔で言い返します。

中西「知ってますよ、(大鷹)先生が嫌いなんでしょ」

中西「めんどくせえ。本なんて売れりゃなんでもいいじゃないですか。俺は早く結果出して、営業戻ればそれでいいんだから」

中西は編集の仕事にうんざりしていて、営業に戻ることを望んでいました。彼が辞書に対する愛を持っていないことも、和田に殺人を決意させる要因となってしまいました。

和田は、千言万辞を潰すために邪魔な和田を殺害し、その罪を大鷹にかぶせて「辞書の神様」のことも潰すことを決意しました。

まず和田がやったことは、大鷹と中西の二人を公園に呼ぶことでした。

和田は大鷹の家に電話をかけ、公園に来るようにとお手伝いさんに告げます。自宅の電話にかけたのは、アルツハイマーの大鷹が約束を忘れて来ないことを避けるため。確実に呼びだすために、お手伝いさんが出る家の電話を利用したのです。

それも、自分の名前ではなく中西の名前を告げて。だからお手伝いさんは、中西からの電話だと信じていたわけですね。

次に和田は、中西に「主幹交代を告げるため」という名目で中西を誘い出しました。大鷹が公園に来るから、編集の中西にも一緒に来るようにと命じます。中西はそれを了承。

和田は中西と二人で公園に向かいます。引き出しにあったペーパーナイフを忍ばせて。

そして大鷹が来る前に、和田は中西をペーパーナイフで何度も刺して殺害。

和田は遺体を隠してから大鷹の自宅に忍び込み、大鷹のペーパーナイフと自分のペーパーナイフをすり替えました。

これで大鷹に殺人の罪を着せ、和田の計画は思い通りに運ぶはずでした。

が、国島の存在がそれを狂わせてしまいました。

大鷹が中西を殺害したと思い込んだ国島は、千言万辞と大鷹を守るために自分が身代わりになることを決意し、行動してしまいます。

凶器として和田がすり替えたペーパーナイフも、国島はさらに自分のものとすり替えて持って行ってしまいました。和田は、国島と大鷹の間にある「信頼」を見抜くことはできていなかったのです。

案の定、警察は国島を犯人だと考える展開に。和田にとって、これは大きな誤算でした。なぜなら、大鷹を犯人にすることができなければ、千言万辞を潰すことができなくなってしまうためです。

そこで和田は、さらに計画を練ります。

それは仕事にかこつけて大鷹を印刷所に呼びだし、国島が逮捕されたことを語ることでした。

和田「国島さんが可哀想だ」

和田「先生は覚えてらっしゃらないんですか?中西に会ったでしょう、公園で。そのとき、ペーパーナイフで刺したでしょう」

和田は、大鷹がアルツハイマーで記憶があいまいなことを利用し、さも殺害したのが大鷹かのように信じ込ませたのです。

和田の思惑通りに、大鷹は「自分が中西を殺した」と思い込み、警察に出頭して供述するためのメモを書き始めました。それが、右京たちが手にしたメモの正体でした。

はたから見れば仲が悪い大鷹と国島。しかし、国島は大鷹を守るために嘘をつき、大鷹は国島を助けるために自ら警察へと出頭します。誰も知らないところで、二人は「信頼」という絆で結ばれていました。

右京「千言万辞は、そんなお二人によってつくられた辞書だったのですね」

その一言に、激昂する和田。

和田「あんなものは辞書と呼ばない!いくら売れてるからって、王道が消えて亜流だけ残るなんてありえないんだ!」

とうとう現れた和田の本性。和田は自分が愛した王道の「文礼堂国語辞典」が消え、邪道とも癒える「千言万辞」が残ることを許せず、それを作っていた大鷹のことも憎み続けていたのです。

常識を愛し、またとらわれた男が犯した悲しい犯罪。

その和田の前で、右京は「千言万辞」に掲載されている「常識」の解釈をもう一度読み上げました。前に冠城が気に入ったと語った、あの「常識」の解釈です。

右京「(常識とは)平凡でつまらない価値観。新しいものを拒む頭の古い考え。今これを読んで不快に感じているあなたのこと」

それは自分に対して言っているのか、と怒りを隠さない和田。右京が言いたかったのは、まさにそのことでした。

右京「あなたはずっと、これは先生が自分への当てつけに書いたものだと、感じていたのではないですか」

右京「そう感じるほどに、あなたは文礼堂国語辞典を愛し、正しい言葉を伝えることが使命だと考えてきた」

右京「そのあなたが、偽りの言葉を使って人を陥れるとは、非常に残念です」

それを聞いた和田は、ただただ泣き崩れるのでした…。

和田が逮捕され、千言万辞は無事に出版されました。表紙には、大鷹と国島二人の名前が。主幹を二人にして出版されたようです。

表紙にある名前を見て、顔を見合わせて笑う大鷹と国島。

二人の友情は、二人の主幹として表紙に印字されることでまだまだ続いていきそうですね。

特命係の二人は、いつものように「花の里」で食事をしながら、千言万辞の言葉で盛り上がっていました。

常識にこだわった辞書と、邪道な辞書の二つが生んだ悲しい殺人事件。

常識を守るための行動が、気づいてみれば何よりも非常識なものになってしまっていた…。誰もが陥りかねない、心の闇を描いた回でした。

今回の話には元ネタがあった?SNSの反応を紹介

常識を守るための気持ちが生んだ、非常識な事件。

正義を守りたいという気持ちは、暴走すると「正義のためなら何をやってもいい」という思考にもなりがちです。

そこで間違いを犯せば、正義のために戦っていたはずの自分が悪になってしまう。自分が思う正義や常識を守るのもまた自分であると、今回の話は教えてくれました。

昨今の「SNSの炎上」にも良く見られる「正義の暴走」に、警笛を鳴らすような内容でもありましたね。

さて、そんな今回の第三話ですが、実は元ネタがあると話題になっています。

著書は、「辞書になった男 ケンボー先生と山田先生」。作家・佐々木健一先生の作品ですね。

今回のお話を振り返る意味で、読んでみてはいかがでしょうか。

SNSの反応を見ても、今回の話はおおむね好評。

『相棒 season17』第4話(11月7日放送)のあらすじ紹介

2018年11月7日(水)21時から放送の『相棒 season17』第5話のあらすじを紹介します。

賭博捜査をめぐって右京と角田が一触即発!正義の暴走が取り返しのつかない悲劇を招く

組織犯罪対策四課の賭博担当、通称バクハンの課長・源馬(中野英雄)の指揮の下、過去最大規模の裏カジノ一斉摘発が行われ、広域指定暴力団・武輝会の資金源に大ダメージを与えた。

右京(水谷豊)と亘(反町隆史)も摘発に駆り出されたのだが、右京はその際、摘発を逃れた店があったことに気づき、源馬が裏で手引きしているのではないかと疑う。

組対五課の角田(山西惇)は、戦友のような源馬をかばい、手を引くよう釘を刺すが、右京は捜査を続ける。

そんな中、賭博業者との癒着で源馬をマークしているという生活安全部の刑事・百田(長谷川公彦)と久我(崎本大海)が、特命係に協力を要請してくる。

右京は、二人への協力を約束するが、亘は「角田課長を裏切れない」と言って、源馬の内定捜査から降りる。さらに、裏では特命係の廃止を目論む副総監の衣笠(杉本哲太)も暗躍していて…!?

亘や角田とも不協和音が生じ孤立を深める右京。

それでも信念に従い賭博をめぐる不正の真相を追究。

信頼できる仲間を失った右京が行き着く先は…!?。

ゲスト:中野英雄 長谷川公彦 崎本大海

「相棒 season17」公式サイトより引用

『相棒 season17』第3話を視聴した感想まとめ

こちらの記事では、2018年秋ドラマ『相棒 season17』第3話のネタバレと第4話のあらすじをご紹介いたしました。

「相棒 season17」の第3話では、特に「初期の相棒に近い展開なのが嬉しい」という感想が印象的です。

近年は「国家レベルの大きな陰謀に立ち向かう特命係」という壮大なストーリーも増えてきましたが、相棒の良さは「小さな事件の裏に潜む、複雑な人間の感情」を暴き出すところだったはずです。

第三話は、誰がみても仲が悪い二人に確かな絆があったり、純粋に辞書を愛していると思われた男が罪を犯したり…と、簡単に割り切ることができない心の葛藤をよく表現していました。

こういうストーリーをもっと見たいですね。次の第4話にも期待です。

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