精子提供ボランティア個人間のリスクとは?将来の近親相姦の危険や病気の危険を考える

2019年10月24日に放送されたフジテレビ系朝の情報番組『とくダネ!』(あさ8時~放送)にて、精子提供ボランティアの人について放送されました。

番組を観た視聴者が問題視したのは、法的な決まりは無いものの、日本産婦人科学会が認めていない活動をしていることです。

個人間でのやり取りをする上で発生する危険や、モラルの問題について考えます。

精子を無償提供する男性

番組内の社会学者古市憲寿さんが自ら取材をするコーナー「古市憲寿の1パーセントの社会学」にて、精子提供ボランティアのことが取り上げられました。

取材を受けたのは、40代で子供15人、20代で子供43人と自称する2人の男性です。

40代男性「能力には自信がありました」

プロフィール
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  • 40代男性
  • 大学院卒
  • スポーツである程度成績を残す実績あり
  • 10年前に結婚し、小学校低学年の子供がいる
  • これまで提供して生まれた子供は15人

知人に頼まれたことがキッカケで精子提供ボランティアの活動をすることになったという男性。

精子の提供について「素材の感覚だった」と言っています。

しかし、家族にはボランティアのことは秘密にしているそうです。

26歳男性「妻は泣き出し反対」

プロフィール

  • 26歳男性
  • 既婚者。4ヶ月の子供がいる
  • 精子提供歴4年
  • 生まれた子供の数は40人強

まだ20代にもかかわらず、この男性の提供して生まれた子供は40人を超えると言います。

積極的に活動していく中で、精子希望者が前を向いていけるように励ます立場になることが多かったそうです。

希望者には「恥ずかしくないよ」と言っているにも関わらず、自身が妻に隠していることに疑問を感じ、また将来自分の夫婦間での子供に告知をしたいということで、妻に活動について明かしました。

男性の妻は泣いて反対をしたそうですが、構わず活動を続けていた男性。

しかし、夫婦間で子供が生まれたことにより、家族に時間を使いたいと考えてボランティアを辞める決意をしています。

個人間での精子提供のリスクは?

第三者から精子提供を受ける場合、原則としては日本産婦人科学会に登録された一部の医療機関でしかできません。

また、条件もたくさんあります。

  • 費用:約8万円
  • 期間:数か月以上かかる場合も
  • 対象者:婚姻関係にある夫婦のみ
  • 提供者情報:知ることはできないが、今後開示されるかもしれない

(番組提供・はるメディカルクリニックより)

個人間で行う場合、個人のホームページやボランティアのサイトから行うので、条件などは様々ですが、ほとんどないと言ってもいいでしょう。

  • 費用:無料もしくは実費請求
  • 期間:都合が合えばいつでも
  • 対象者:夫婦間のみならず、LGBTやシングルマザーでも可能
  • 対象者:直接面会することが可能

個人間での提供の場合、融通が利くということが一番のメリットではありますが、安全性に関しては保証がありません。

医療機関の場合、多くの検査をし、管理された中での採精や提供が行われますが、個人間の場合は違います。

遺伝子検査や性病検査、精子検査について行っている人もいますが、どこまで行うかは交渉次第ですし、もちろん、ごまかすことだってできます。

きちんと殺菌された器具を用いて採精・提供をしているとインタビューでは語っていましたが、提供者全員がそうだとは言い切れないと思います。

精子提供を受けたことによる性病や感染症のリスクがあることを忘れてはいけません。

精子提供のモラルは?近親相姦の可能性も考える

番組で取り上げられた40歳の男性は、15人の子供がいると言っていました。

契約書などで、遺産相続の放棄や生活に干渉しないなどの取り決めを交わしていましたが、専門家は後々子供自身が認知を求めてきた時に相続や養育費などのトラブルになるのではないかと指摘しています。

医療機関とは違い、面識を持ってからの提供になりますし、近年出自を知る権利が認められ始めているので、提供後は無関係というのは許されなくなるのかもしれません。

日本の戸籍はとても信頼性が高いものですが、もし、無精子症の夫婦間に精子提供者との子供が誕生した場合、虚偽の戸籍が誕生することを懸念しています。

精子の大量提供による近親相姦の危険性は?

26歳の男性は精子提供で43人もの子供がいると告白しています。

この男性の場合、妻には告知済みで、将来的にも夫婦間の子供に告知する意思を持っています。

40代の男性の場合は妻に告知しておらず、秘密のボランティア活動です。

後々、男性が提供した精子で誕生した子供同士が出会い、結婚した場合は近親相姦になってしまいます。

その確率は高くないとはいえ、生まれてくる子供のことを考えるならば、自分の出自を知らせることが必要かもしれません。

しかし、出自を知ることが子供にとって幸せかどうかは誰にも分らない、難しい問題です。

「知らずに自分の子供同士が結婚したら?」「親のエゴ」など厳しい声も

ネット上では、生まれてくる子供同士が出会い、恋愛関係になった場合にどうするのかという意見が多く出ています。

無差別に1人の男性が多くの精子を提供することがないようなルール作りや告知についてのガイドラインを作っていく必要性があるのかもしれません。

https://twitter.com/serori_garden/status/1187162518747115520

https://twitter.com/aoichi9/status/1187162573386313729

番組内で提供者の名前が放送される!

26歳の男性が取材に応じた際、提示したのは自分の性病検査などの結果表でした。

そこには、受けた日にちや結果とともに、男性の名前がモザイク無しで載っていました。

これを観た視聴者からは心配する声が上がりました。

スタジオの古市さんは、検査結果の名前は仮名であることを明かしています。

実際に医療機関によっては性病検査などは仮名で行うことが可能になっています。

元々仮名になっているのを知っていたからこそ、名前を伏せずに出していたんですね。

ちなみに、この男性は自身のホームページでもこの結果を公開しているそうです。

子供が欲しい女性や夫婦には助かる制度だが、制度で取り締まるべき事案

不妊に悩む夫婦や、自分たちの子供を望めないLGBTの人たち、また、自ら望んでシングルマザーを選ぶ人にとって、精子提供ボランティアはありがたい制度だと思います。

病気のリスクなどはありますが、それでも納得して提供を受けている人たちも大勢います。

しかし、後々の相続や告知のことを考えると、安易に提供を受けていいものなのでしょうか?

生まれてくる子供が本当に幸せになれる方法は一体何なのか、きちんと法や制度でガイドラインを作っていくことが大切だと思います。

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