親が子どもを虐待して死なせてしまうという悲しいニュースが出ている中、厚生労働省は「体罰」に関する指針案をまとめました。
具体的にどんな行為が「体罰」に当たるのかが、簡潔に紹介されています。
ただ、実際に子どもを育てている親御さんの間では、決してこの指針案に対し、好意的な意見ばかりではありません。
厚生労働省が具体的に示した「体罰」の具体的なケースや、この指針案に対する親御さんたちの反応・感想について紹介します。
目次
厚生労働省が「体罰」に当てはまる行為の指針案を取りまとめ、具体的なケースを提示
厚生労働省が禁止しているのは、「身体に苦痛、不快感を与える」体罰であり、理由を問わず全面的に禁止としています。
何度言っても言うことを聞かないから、絶対に許されない行為をしたから、などの理由は一切考慮されません。
しつけのための「良い」「許される」体罰もあると考える方も少なくありませんが、そういった考え方を完全に否定する内容となっています。
厚生労働省により、具体的に禁止される体罰として紹介されたケースが、
- 口で3回注意したが言うことを聞かないので、頬を叩く
- 大切なものにいたずらをしたので長時間正座させる
- 友達を殴ってケガをさせたので、同じように殴る
- 他人の物を盗んだので、罰として尻を叩く
- 宿題をしなかったので、夕ご飯を与えない
というものです。
叩くだけでなく、正座をさせるといった行為も体罰として、はっきりと示されました。
一方で、罰を目的としない行為については、体罰ではないとしています。
道路に飛び出しそうなお子さんの手を引っ張って止める、兄弟やお友達を叩こうとするのを止める、といった行為は、体罰には当たりません。
体罰指針案提示は2020年4月の改正児童虐待防止法施行を見据えたもの、体罰禁止明文化に児相介入強化
厚生労働省が体罰に関する具体的な指針案を示したのは、2020年4月の児童虐待防止法改正に備えてのものです。
この改正では、明確に体罰を禁止するということが法律の文章として示されます。
体罰の禁止と共に、児童相談所が子どもの安全を確保できるよう、介入の強化もポイントとなっています。
近年、児童虐待は、多くの方が関心を示す、大きな社会問題です。
2019年1月、千葉県野田市で小学4年生の女の子が虐待を受け死亡した事件は、かなりニュースとなりました。
大きな全国ニュースとならなくても、子どもに対する虐待案件は少なくありません。
児童相談所に寄せられた相談件数は10万件を超える現状です。
悲しい虐待による傷害・死亡事件を防ぐための対策として、改正児童虐待防止法がどのように運用されるか、注目されます。
厚生労働省の体罰指針案に親から戸惑いの声、線引きの難しさなどが課題に
厚生労働省が体罰に関する指針案を提示しましたが、実際に現在子どもを育てている親御さんからは、この指針案に不満の声も多く聞かれます。
- 体罰かそうでないかの線引きが難しい
- 子どもが重大な悪事をした時でも、絶対に体罰はダメというのはおかしいのではないか
- ただでさえ子育てが難しいのに、これ以上親に負担やプレッシャーを強いられると厳しい
など、いろいろな意見が聞かれます。
教育現場の方も、こうした戸惑いの声は同じです。
ずる賢い子どもやモンスターペアレントから、体罰禁止が、逆に教員への脅迫のネタにされるのではないかと考える声もあります。
体罰禁止明文化も親の異なる意見はさまざま、親へのサポート体制を求める声も
厚生労働省から、体罰禁止について指針案が示され、来年4月には改正児童虐待防止法で法律でも明文化されることになっています。
しかし、実際に子育て現場でお子さんを育てている親御さんの意見はさまざまで、体罰全面禁止が100%納得されていない状況です。
子どもをどうしつければよいのかと、悩んでいる親御さんへのサポートも、体罰禁止のための大きな課題となっています。
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