日本テレビ系朝の情報番組『スッキリ』にて、特別企画3DAYSとして「不妊治療と家族のかたち」が放送されました。
2019年7月9日(火)は1日目として、専門家が不妊治療に対する悩みや疑問を解決するというものでした。
今回は女性の立場での不妊の話ということで、専門の不妊治療の設備や費用、女性の不妊について紹介します。
目次
不妊治療はいつから開始?受診する病院は何科?
不妊(ふにん)とは、自然な状態で妊娠に至れないか、妊娠を一定期間以上維持することができない状態を指す。
WHO、日本産科婦人科学会ともに、「1年以内に妊娠に至れない状態」と定義している。
一般的に不妊とは、健康な男女が避妊をせずに性交をしているにも関わらず、1年以上妊娠しない状態と言われています。
この時、番組では性交の頻度について質問がありましたが、月に1度ではなく、排卵日の前後に行っているとして、月に2~3度程としていました。
また、女性の年齢が35歳を過ぎると、妊娠率が低下してしまいます。
卵子の質の低下や、卵子の染色体異常数の増加がみられてくるのが35歳からです。
例え35歳を過ぎてしまったとしても、急に卵子の質が低下していくわけではありません。
年齢を重ねていくと徐々に低下していくので、35歳は1つの目安として考えて行けばいいと思います。
このことから、不妊治療を開始する時期は大きく2つに分けられます。
- 妊娠希望をして1年以上経つのに妊娠しない場合
- 妊娠希望をして1年未満だが、女性が35歳を過ぎている場合
またこの他にも、持病があったり、元々生理周期に乱れがあるなどの場合は早めに受診をして、妊娠にむけて準備をしていくといいと思います。
男女によって受診する科が異なる
不妊というと、女性はすぐに「産婦人科」「レディスクリニック」が浮かぶと思います。
では、男性に不妊の原因がある場合はどこに行けばいいのでしょうか?
実は男性は泌尿器科でいいんです。
泌尿器科は尿トラブルの専門と思ってる人が多いと思いますが、EDや精巣異常についても専門なので検査や治療を行ってくれます。
ただし、もし男女ともに異常が発見された場合や、治療が高度医療になるにつれて両方の医師の連携が必要になってくる場合があります。
その場合は、男女どちらもケアができる専門の不妊治療クリニックがお勧めです。
不妊治療を開始するまでに行う検査は?
不妊治療と一言でいっても、その内容は多岐に渡ります。
一般的には排卵日を割り出して性交をする、タイミング療法を行いながら進めていきます。
- 基礎体温測定(毎日)
- 子宮卵管造営検査(月経終了から排卵までの間)
- 卵管通期検査(月経終了から排卵までの間)
- 着床期子宮内膜検査(高温期の中期)
- フーナー検査(排卵期の朝、性交をしてすぐ確認)
- 細菌培養検査(低温期)
これらの時期を見て頂くとわかるように、すべての検査には適切な時期があり、初診から検査完了まで1~2ヶ月かかります。
ここまでの検査は一次検査と言われており、ここで異常が見つからなかった場合はさらに踏み込んだ二次検査を行い、不妊の原因を調べていきます。
女性側の不妊には3つの原因に分けられる
女性の側に問題があるとして今回3つの原因が紹介されました。
ここに上げるのはあくまでも一例です。 個々で原因や対策が異なるので、参考としてみて下さい。
子宮に問題がある場合
子宮の状態が悪く、着床しにくい状態を指します。
原因として、子宮内膜症、子宮がん、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、先天性奇形が考えられます。
卵巣に問題がある場合
主に排卵が起こらない状態を指します。
原因として、高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群、無排卵が挙げられます。
卵管に問題がある場合
卵管のねじれや詰まりによって、卵子が子宮に運ばれない状態を指します。
クラミジア感染症による卵管閉塞や卵管周囲の癒着、虫垂炎や子宮内膜症でも同様の状態が起きることがあります。
具体的な不妊治療の方法や金額について
不妊治療開始すると、一般的に誰でも行うのがタイミング法、その後、人工授精、体外受精、顕微授精とステップアップしていきます。
では実際、どんな方法で行われて、治療費にいくらかかるのかを紹介します。
タイミング法
基礎体温の計測と超音波検査で排卵日を割り出し、その前後に性交をして自然妊娠を促す方法です。
この時、排卵誘発剤を使用したり、ホルモン剤の投与も並行していく場合があります。
費用は1周期あたり数千円、保険適用内で行えます。
人工授精
採取した精子をチューブを使って子宮に挿入します。
元気な精子をより分け、より卵子の近くに運び、受精のチャンスを増やします。
費用は1周期あたり1万円程度、保険適用外です。
体外受精
精子と卵子を採取し、シャーレの上で卵子に精子をかけます。
その後、受精した卵子を子宮に戻して着床を待ちます。
費用は1周期あたり平均30万円程度、保険適用外です。
顕微授精
採取した卵子に針を刺し、直接精子を中に送り込みます。
その後、受精した卵子を子宮内に戻して着床を待ちます。
費用は1周期辺り平均40万円程度、保険適用外です。
不妊治療の最前線!最新の医療技術とは?
番組で紹介されたのは、東京都江東区にある木場公園クリニックです。
ここは、大学病院レベルの最新の医療機器と高度な技術を有する不妊症専門の病院です。
7階建ての建物は、フロアごとに専門が分かれており、男性不妊フロア、二人目不妊フロアなど、他の患者さんの目が気になる人のために配慮がされています。
不妊治療の要!培養室
精密機械を使う不妊治療において、温度管理はとても重要です。
木場公園クリニックでは、培養室の温度は年間を通して25度に設定されており、これにより機械の温度を正確に合わせることができます。
ここでは、体外受精と顕微授精をメインで行っています。
すぐ隣に採精室があり、ガラス張りになっているので顔を確認して取り違い防止に努めています。
採取された精子は専用の機械にかけられ、自動で数とスピードを計測されます

また、卵子の採取は専用の採卵針を使って取り出します。
排卵直前にまで育った卵胞に膣から針を挿入し、卵胞液と共に卵子を吸い出します。
この時、卵子は精子と違い目には見えないので、採卵できていたかどうかは取り出してみないとわからないんだそうです。
その後、人の手を使って体外受精や顕微授精が行われます。

最新機器!タイムラプスシステム

スマホのカメラなどでタイムラプスという言葉を聞いたことがあると思います。
タイムラプスとは、通常の動画よりも倍速再生できる機能のことで、定点観測を長時間行った場合の変化を比べる時に便利な機能です。
今回の最新機器も、このタイムラプスカメラを搭載した培養器になっていて、10分おきに受精卵を観察し、まとめて変化を確認できるようになっています。
これまでの検査は、何度も培養器から受精卵を取り出して観察することが必要でした。
タイムラプスシステムが導入されたことで、一定の環境を維持したまま培養ができるようになり、いい受精卵ができる確率が10%以上上がったそうです。
希望の宝箱!凍結タンク室

原則として、育った受精卵は子宮に1つずつしか戻せません。
そのため、複数の受精卵が育った場合などはこの凍結タンク室にて保存されます。
凍結タンクの中には-196℃の液体窒素が入っており、その中で出番があるまで保存されます。
かさむ治療費と不規則な通院スケジュールに悩む人たち
不妊治療は、タイミング法以外は保険が適用されていません。
その為、治療が進むにつれて実費での負担がかかりますし、費用も決して安くはありません。
経済的な問題から、治療を断念してしまう人も少なくないです。
また、排卵時期を見ながらの治療になるので、通院がどうしても不規則になりがちです。
検査によっては、連続通院が必要になる場合があり、前もってわからない時があります。
治療費をねん出するために働きたいのに、不規則な通院のため、正社員のままではいられず、パートやアルバイトに変わる人もいます。
国は子供を増やしてほしいのに、制度がまだできていない為、矛盾が生じているのが現状です。
不妊治療に関しては、現在厚生労働省と自治体で補助金を支援しています。
補助金や対象になる治療は各自治体によって異なるので、ぜひご自身の地域では何が対象になるのか確認して欲しいと思います。
できれば、企業や国が子供を欲しい人たちに向けてもっとサポートをし、経済的にも精神的にもサポートする仕組みができたらと願います
ストレスも不妊の原因になる
よく「不妊治療をやめたとたんに授かった」「治療を休んでいる間に妊娠できた」ということを耳にしたことはありませんか?
実は、妊娠しないとという気持ちがストレスになってしまっていて、それが原因で不妊になっているという例はあるんです。
男女を問わず、大きなストレスがかかると体は危険を感じ、ホルモンの乱れが生じてしまいます。
そのため、ストレスが原因で排卵障害や生理周期の乱れ、男性の場合はEDや射精機能の低下が起こります。
どうしても治療の期間が長くなってくると、金銭的なことや年齢的なことを考えて焦ることがあると思います。
でも、ちょっと息抜きをしてみるのも効果的な治療法だと思いますよ。
もし原因不明の不妊で悩んでいる方は、なかなか難しいとは思いますが、気持ちを落ち着けてリラックスしてみて下さい。
きっと、いい方向に動いていくと思いますよ。
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