「世界一受けたい授業」友田明美先生から学ぶ子供の脳を変形させる事例や対処方とは?

2019年1月19日(土)19:56~放送の「世界一受けたい授業」では

  • 家庭科:コナン君と謎解き!台所で起こる呪いのミステリー
  • 科学:子供の脳を変形させるマルトリートメント!第二弾
  • 社会:世界を揺るがすフェイクニュース

の3本立てでした。

今回はその中から、小児科医の友田明美先生から学ぶ「子供の脳を変形させるマルトリートメント(不適切な養育)」の事例や対処法、子供へのフォローの仕方を紹介したいと思います。

マルトリートメントって何?

マルトリートメントとは英語でmaltreatmentと表記し、悪いを意味するmalと扱いを意味するtreatmentが組み合わされてできた言葉です。

特に大人から子供への養育に関して使われることが多い言語で、「不適切な養育」と訳されます。

虐待とほぼ同義語ではありますが、もっと幅広い意味で使われており、子供に直接的な危害が加わっていなくても、不適切な行為を行った時点でマルトリートメントとなります。

ゲスト講師友田明美先生とは

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今回のゲストは福井大学教授で小児精神科医の友田明美先生です。

先生は脳科学の側面から子供の脳の発達を研究しており、ハーバード大学との共同研究で1500人の脳をMRIで調査しました。

また、今話題の本「虐待が脳を変える 脳科学者からのメッセージ」の著者でもあります。

友田先生が世界一受けたい授業に出演するのは3度目になります。

今回の放送では、2017年10月に放送されたマルトリートメントの第二弾として出演されました。

虐待の現状は?

世界的に問題となっている虐待。実は先進国では減少傾向になっています。

その中で日本は唯一年々児童虐待の相談件数が増加している国であり、昨年は過去最悪の13万3378件に上りました。

直接子供に危害を与えているものはもちろん、激しい夫婦喧嘩を子供に見せるのも虐待の一つとなるそうです。

児童虐待は大きな社会問題になっているのです。

虐待を受けた子供は脳が萎縮する

虐待を受けた子供は、脳が極度のストレスを感じて萎縮してしまいます。

その理由は、置かれた環境に適応するためであったり、適切な刺激を受けることができずに萎縮してしまうなどと考えられています。

脳が萎縮した結果、記憶力や認知能力の低下による学習意欲の低下、非行、うつ病など様々な問題が起きてきます。

また、虐待時は寿命が20年減ってしまうという調査結果も出ています。

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マルトリートメントとなる行動例は?

前回の第一弾で放送された子供に悪影響を及ぼす、よくあるマルトリートメントを紹介します。

3位 裸でうろうろする

子供が見たくないものを見せてしまうというのも、マルトリートメントに該当します。

この結果、視覚野が変形してしまい、記憶力や認知能力が低下します。

2位 兄弟や友達などと比較

誰かと比べながら叱ると、子供の自尊心を傷つけてしまい、脳にダメージを与えます。

1位 子供の存在を否定する暴言

言葉の暴力によって、聴覚野という脳の一部が変形してしまい、心因性難聴になってしまった例もあるそうです。

どうしても叱らないといけない時は、ポイントを絞って60秒以内に叱って下さい。

代理ミュンヒハウゼン症候群

ある母親が、子供の具合が悪いとして病院にかかりました。

実は、その母親は子供にインスリンを注射して血糖値を下げていたことがわかりました。

SNSなどに子供の様子や自分の看護の様子などを上げて同情を買い、自己愛を満たすということをしていたのです。

これは「代理ミュンヒハウゼン症候群」という精神疾患なのです。

その結果、虐待を受けた子供は感情をつかさどる前頭前野が萎縮してしまい、危険や恐怖を常に感じるようになってしまいます。

そして、そのまま成長をしてしまうと、感情をコントロールできなくなって犯罪行為を行ってしまったり、うつ病になることもあります。

この虐待は親が自分で気が付かない場合が多いので、友人や家族などの周りの人が気づいてあげることがとても大切です。

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一人での留守番が多すぎる

家庭の事情や仕事の都合などで子供が一人で留守番をすることがあると思います。

それも多すぎてしまうと、家族とのつながりが希薄になってしまい、子供が自己嫌悪に陥ってしまうのです。

その結果脳梁が萎縮し、集団行動が取れなくなったり、コミュニケーションの苦手な大人になってしまうそうです。

これを解決する対策は、留守番をしてくれた子供を思いっきり褒めることです。

褒めることで自己嫌悪がなくなり、親子のコミュニケーションも成立するので脳へのダメージが解消されます。

育児放棄(ネグレクト)

親が自分のことを優先し、子供を無視したり、世話を怠って放棄することをいいます。

育児放棄を受けた子供は脳梁が変形してしまい、ご褒美をもらうことに脳が反応しなくなります。

その結果、何事にも関心を持たない無気力な大人になってしまいます。

これを解決するには、定期的に報酬を与えることで脳を活性化させる必要があります。

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怒った後の子供へのフォロー仕方は?

脳は愛情をたっぷりと与えることで関係を修復し、改善することがあるそうです。一度変形してしまった脳でも回復の可能性はあります!

もしも、親が怒りすぎたと思った時、子供に対してどのようなフォローをすればいいのでしょうか?

番組ではゲストの人たちがガラスのコップを割ってしまったという子役の男の子に向かって、怒った後のフォローに挑戦しました。

言葉でフォローする

チャレンジしたゲストの3人は、全員が何かしらの言葉がけでフォローをしました。

渡辺満里奈さんは

「危ないからね。次から気を付けるんだよ」

という、一見お手本のようなフォローをしましたが、これも不正解でした。

フォローはスキンシップ

先生からの正解は「優しく抱きしめる」でした。

脳の改善に最も効果的なのは、言葉がけではなくスキンシップなのです。

抱きしめることで子供の脳内に絆ホルモンのオキシトシンが分泌されます。

それは親子の愛情を深め、安心感を高めるなどの作用があるのです。

ぜひ、子供とのコミュニケーションで言いすぎたなと感じることがあったら、優しく抱きしめてあげて下さい。

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完璧な親はいない

講師の友田先生が働く、福井大学の子どもの心の発達研究センターには年間約800人もの親子が訪れます。

その中で友田先生は、育児に悩む親の為に「ペアレントトレーニング(親の訓練)」を行っています。

友田先生は悩む親に対して決して否定をせず、責めることもしません。

「がんばってるね」と声をかけて励ましてくれます。

子どもの褒め方

友田先生が提案する子供の褒め方は「耳打ち効果」です。

子どもがいる時に、ご主人や友人などに対して

「あの子最近がんばってるんだよ。このあいだも○○ってことがあってね!」

などと間接的に褒めているのを聞かせることがいいと提案しています。

直接褒めるよりも何倍も子供の自尊心が成長するそうです。

実際に挑戦してみた母親は

  • 子供の気持ちもうまくコントロールできるようになった
  • 自分の気持ちもコントロールできるようになった

などの効果を実感しています。

共同子育てをしよう

自分だけで育児をしようとすると、どうしても育児書などに頼ってしまい、完璧を求める傾向があります。

「こうじゃなきゃいけない」という先入観は育児に対するストレスの大きな原因であり、それはマルトリートメントに繋がる危険性があります。

なので、祖父母や第三者と共に育児を行う「共同子育て」を友田先生は提案しました。

多くの人と関わりながら育った子供は、脳のネットワークが発達するそうです。

親のストレスを減らすことが大事

昨今ではSNSやインターネット等の情報網が発達して情報過多になっています。

その中にいるとどうしても、こうでなければいけない、こうしないといけないなどの先入観が生まれてしまうことがあります。

親も子も別の人間であるし、一人として同じ人はいません。

育児書に惑わされることなく、子供本人を見つめてあげて下さい。そして、悩みがあったとしても「そのうちできるようになる!」と楽観的でいることが大切です。

悩み過ぎない、ストレスを抱えない、そうすることがマルトリートメントから離れることに繋がります。

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