マスクとともに現在品薄状態が続いているのが消毒液です。
今、間違った消毒液の作り方のせいで精製水が品薄になり、難病の人が悲鳴を上げています。
精製水が必要になる正しい消毒液の作り方と、消毒液の代用品についてまとめました。
目次
難病の息子を支える母親からの悲鳴
精製水の不足は以前から言われていましたが、話題になったのは難病の息子を持つ母親のツイートでした。
呼吸器を装着している息子さんは、付属の加湿器に精製水が必要になるそうです。
人工呼吸器に付属している加湿器は、のどと鼻を潤し、細菌やウイルスの感染を防止する役割があります。
人工呼吸器ということは、生命維持に切迫するシーンもあります。
そのため、水道水ではなく滅菌・殺菌されている精製水が必要となります。
息子は難病で呼吸器を装着しないと生きれない
付属の加湿器に入れる精製水がどこにも売っていない
今日は朝から薬局など7店梯子してやっと2本手に入れた
消毒液作るのなら普通の水道水で薄めれば良いのでは
呼吸器の必要な患者の命に関わる精製水の買い占めとかやめて欲しい#精製水売り切れ pic.twitter.com/hA07iR5LTp— ナーコ (@nakosan37) April 6, 2020
しかし、メディアの間違った報道により、精製水が品薄状態になっています。
Twitterをしたナーコさんは、朝から薬局を7店はしごしてやっと2本手に入れたということで、どれだけなくなっているのかがわかりますね。
間違った消毒液の作り方とは?
精製水が品薄になった理由は、消毒液の需要が高まったことに一因があります。
現在、薬局やホームセンター、スーパーなどでは手指用はもちろんキッチン用アルコールまで売り切れとなっており、自分で消毒液を作ろうとする動きが起きています。
ここで問題なのが、間違った消毒液の作り方です。
メディアで紹介されたのは、無水エタノールと精製水を利用した消毒液の作り方です。
無水エタノールとは、水分を一切含んでいないアルコールです。
物品の消毒はもちろん、揮発性が高いので水厳禁の掃除に用いられたり、アロマスプレーを作る時の補助液としても用いられます。
無水エタノールの原液では消毒効果が期待できないため、精製水で薄めることで、一般で販売されている消毒液となります。
しかし、既に薄められた状態で販売されている「消毒用エタノール」も精製水で薄めて使用しようとしている人がいるため、品薄になってしまっています。
消毒液を作るのには必ずしも精製水である必要はない
今回の精製水品薄問題を受け、ネットでは、必ずしも精製水は必要ではないという書き込みが増えています。
精製水は確かに滅菌・殺菌された清潔な水です。
しかし、除菌を目的とする消毒液をつくるのであれば、そこまで清潔度が高いものでなくても効果があると言われています。
薬剤師です。
無水エタノールを精製水で薄めて消毒用アルコールを使っている皆さん。
少量ずつ作り、精製水ではなく水道水で薄めて作ることができます。
日本の水道水には塩素が含まれ、開封後時間がたった精製水よりずっと清潔です。
水道水は、汲み置きしたり、煮沸しないで使用します。
清拭したり手指の消毒には十分です。精製水・滅菌精製水・滅菌ガーゼは本当に必要な方のために残しておいて下さい
yahooニュースコメントより引用
一般家庭の手指消毒用なら、無水エタノールの希釈には新鮮な水道水で十分です。エタノールの使用自体、外出時に水道が無い場所に限られます。家ではハンドソープ手洗い、物の消毒は台所用合成洗剤やハイター等の希釈液が使えます。(詳しくは感染症情報センターHPのSARS消毒方法を参照ください)
痰の吸引やインスリン自己注射など準医療行為をご自宅で行う際の消毒はより安全性を確保する為に調整済みの薬局方の消毒用エタノールを使い、どうしても無ければ無水エタノールを精製水で希釈となります。yahooニュースコメントより引用
わたしもイソプロピレンで消毒液を作るとき一度購入しましたが、精製水って500ml98円とかで安価なこともあって次に行ったときは売り切れていた。薬局の方に確認すると沸かしたお湯を冷ました水でOKだそうで、そちらに切り替えました。難病の方の人工呼吸器の使用用に手に入らずに困っているとのこと。 https://t.co/DDAvAfCxYz
— OSIO (@tinybuddha33) April 9, 2020
消毒液の代用品を紹介
消毒液が無くて困っている健康な人向けに、消毒液の代用品を紹介します。
ここで紹介するものは、あくまでも代用品です。
医療用として器具の消毒や殺菌に用いることのないようにご注意ください。
高アルコール酒
消毒液というと、主成分はアルコールです。
ということで、代用品として一番注目されているのはアルコール度数の高いお酒です。
以前から、ポーランドのウォッカ「スピリタス(アルコール度数96%)」が消毒薬の代用品として話題になっていました。
実際にポーランドの家庭では飲用はもちろんキッチンの消毒にも使われているそうです。
また、日本の酒造メーカー「菊水酒造」も消毒用アルコールを製造開始しました。
薬事法などの関係で、お酒として販売しているので、飲めるそうです。
国の対応が遅いから酒造メーカーが消毒液代わりのアルコールを出してくれた。薬事法にひっかかる問題であくまでお酒だと言い張るしかないそう
>※当商品は消毒用アルコールと同等のアルコール分を含んでおりますが、消毒や除菌を目的に製造されたものではありません。https://t.co/FWuV6dq8Rz pic.twitter.com/crdR1GjDwg
— カズト Kazuto / Bitcoin 🇯🇵 (@nomadkzt) April 4, 2020
塩素系漂白剤
ハイターやブリーチなどの塩素系漂白剤は希釈して消毒液として利用できます。
使用する際には、濃度を0.05%に薄めた上で、十分換気をしながら使用してください。
注意点として、塩素系漂白剤は手指の消毒には適していません。
あくまでも、食器や手すり、ドアノブなどの身近なものの消毒にのみ利用して下さい。
逆性石けん
石けんの逆の効果を持つ逆性石けんです。
石けんと異なり、洗浄力はない代わりに、陽イオン界面活性剤の効果で殺菌効果に優れています。
マイナス電気を持つ細菌やカビの性質を変容させ、殺菌する効果があります。
ただし、ウイルスに対して殺菌効果はないので注意して下さい。
逆性石けんは薄めて使用するものです。
希釈方法などは商品説明をよく読んでから利用するようにして下さい。
家に消毒液があったぞ!と父が引っ張り出してきたのがこちら
使用期限が「61.8」の逆性石けんで、「厚生省」指定代用消毒薬であります pic.twitter.com/GP7rIYtPh0— zkc@hgr (@zokcho0hagerons) April 7, 2020
ミルトンやアルコール綿の買い占めにも警告
精製水の他にも、哺乳瓶の消毒で必要なミルトンや、医療器具の殺菌消毒に用いられるアルコール綿が品薄になっています。
また、けがの治療に使われる滅菌ガーゼを利用してマスクを
作るなど、過剰に清潔を意識しすぎるあまり、本当に必要な人が手に入らない状態が発生しています。
消毒目的で購入を検討する人は、過剰に購入することはやめて下さい。
不必要な買い溜めで困る人が出ないように、情報を正しく理解し、本当に必要な人に届くようにしたいですね。
コメントを残す