夫婦の共働き世帯が増える中、現代社会は妊娠や出産が昔よりも難しくなったと言えるのではないでしょうか。
しかし、そのような中でも妊娠や出産をすることは、夫婦にとって喜ばしいことでありますし、子は宝であります。
このような現状の中、「出生前診断」という言葉を一度は耳にしたことがある方もいると思います。
出生前診断とは、妊娠した時点で、お腹にいる赤ちゃんに異常がないかを調べることができる診断です。
ですが、出生前診断は命の選別になりかねないと、数年前より問題になっているのです。
ここからは、その出生前診断がどのような形で問題になっているのか、どういった形で診断することができるのかを調べていきたいと思います。
目次
出生前診断と新型出生前診断の方法とは?
従来の出生前診断と言えば、お腹に針を刺す羊水検査が一般的でありました。
こちらの検査方法は、99パーセントの精度がありますが、その分流産の危険性もあり診断を迷う方も少なくありませんでした。
また、こちらの検査では、ダウン症をはじめとする3つの症候群があるかないかを検査によって分かる仕組みになっています。
しかし、医学が発達する中で、採血だけで検査をすることができる「新型出生前診断」が登場し、こちらを受診する妊婦は増えつつあります。
こちらの検査は、遺伝カウンセリングと呼ばれる詳しい検査の説明を受けた上で、同意書にサインをすることから始まります。
そして、10分程度の採血を終えると、2週間程度で検査結果が分かるという方法なのです。
9割が中絶の道を選ぶ事実とは?
2013年に新型出生前診断が導入され、年間で6万人を超える妊婦が診断を受診しています。
そして、陽性と確定された人数が約890人いましたが、およそ9割の妊婦が中絶している実態があるのです。
こうした事実を受け、日本産科婦人科学会では高齢出産の方など検査に厳しい条件を定め、現在は全国の92か所の施設でしか検査を受けることができないことになっています。
しかし、兵庫医科大学の遺伝子医療部、産科婦人科学の澤井英明教授は、無認可でも新型出生前診断を行っている施設が存在するというのです。
本来であれば、様々な検査や手続きを行われたうえで、新型出生前診断を受けることが可能になっています。
ですが、無認可で行っている大阪の美容外科専門の施設では、カウンセリングなどを受けなくても新型出生前診断を受けることができるのです。
こちらの施設の場合、予約を取ることが難しい忙しい妊婦でも気軽に受診できることから、利用する人も多いのだそうです。
また、NIPT平石クリニックの平石貴久医院によれば、美容外科は妊娠とはあまり関係のない医師が検査を行っても法律に触れることはなく、無認可の新型出生前診断ができてしまうとのことです。
新型出生前診断は簡単に行えるため誰でも受診が可能に!
新型出生前診断は、あくまで染色体異常の赤ちゃんが生まれても、どのように育てていけばいいかという心構えをするための診断であることを忘れてはいけません。
染色体異常がある赤ちゃんが生まれるのであれば、中絶してしまう妊婦が多いのが現状です。
そのため、きちんとした施設で、しっかりと説明を受けた上で、新型出生前診断を受診するかどうかを夫婦で話し合うことが必要です。
染色体異常があっても生きやすい社会に!
染色体異常があれば、産まれた後にどのように育てていけばいいのか、親がいなくなったあとのことも考えるでしょう。
それは、今の日本がそういった障害のある人々を受け入れる施設が少なく、偏見の目があることにあるのではないでしょうか。
こうしたことを踏まえ、日本という国自体がどんな人でも生きやすい世の中に変えていかなくてはならないと言えます。
新型出生前診断=何かあれば中絶という考えを変えてみる
血液だけで、染色体異常があるかないかを判断できるまで進歩した日本の医療は素晴らしいと言えます。
しかし、それ以上に妊娠し出産するということがどれほどに素晴らしいことなのかを、新型出生前診断を受診する前に今一度考えることが大切です。
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