ドラマ「パーフェクトワールド」で知る脊髄損傷者の苦悩や日常生活

先日第1話が放送されたドラマ「パーフェクトワールド」は事故で脊髄損傷して歩けなくなった鮎川(松坂桃李)と高校時代の彼に初恋をしていたつぐみ(山本美月)のラブストーリーです。

このドラマのテーマは障がい者と健常者の恋愛です。

鮎川自身、恋愛も結婚も諦めないとと語っていたように、障がいをもつ人との恋愛には壁が立ちはだかります。

何ができて何ができないのか、脊髄損傷と言ってもそこから発生する障がいは人それぞれです。

そこで今回は、第1話で取り上げられた鮎川の障がいについてとその対応についてまとめてみました。

ドラマ「パーフェクト・ワールド」あらすじ

12年ぶりの再会は偶然か、それとも運命か――。

恋をあきらめた鮎川樹(松坂桃李)と、初恋相手への恋心がよみがえる川奈つぐみ(山本美月)。

二人の愛の物語が今始まる。

建築士の鮎川樹(松坂)は、大学生の時に事故に遭った事が原因で脊髄を損傷し、下半身が不随に。

「恋愛も、好きだったバスケットボールももうしない」と心に固く決めていた。

そんなある日、高校時代の同級生・川奈つぐみ(山本)と再会。閉ざされていた樹の心が、少しずつ開かれていく―。

二人の前には、さまざまな困難が立ちはだかる。

つぐみを一途に想い続ける幼なじみ・是枝洋貴(瀬戸康史)。

自暴自棄になっていた樹を励まし続けた恩人・長沢葵(中村ゆり)。

突然障がい者となった息子を誰よりも心配する樹の母・文乃(麻生祐未)。

樹との恋に反対するつぐみの父・元久(松重豊)。

お互いを「幸せにしたい」と思えば思うほど、二人はすれ違いー。無限の可能性が広がる中で、樹とつぐみが選ぶ未来とは―?

ドラマ「パーフェクトワールド」ホームページより引用

ケース1 エレベーターが無くて困る

鮎川とつぐみが出かけた美術館は古いビルをリノベーションしたものなのでエレベーターがありませんでした。

搬入用のエレベーターもなく、2階の展示室に入場することができませんでした。

ドラマでは、つぐみが「階段を利用できない人は見れないってことですか?」と係員にくってかかりました。

エレベーターがない場合の対応

多くの施設では、事前に予約や問い合わせをするなどして対応してくれる場合が殆どです。

エレベーターがなくても車いす用の昇降台を設置してある場合や、エスカレーターを利用する場合、稀なケースになりますが、係の人が背負って登ってくれる場合もあります。

ただ、安全が保障できないということで背負ってもらうというのは推奨できませんし、どうしても方法がないのでと断られてしまうケースもあります。

今回のパターンは、事前につぐみ達が下調べを怠っていたことで入場できないという結果になってしまいました。

ケース2 排泄障がい

居酒屋にて障がい者と付き合うことが大変だと話す鮎川。

恋愛も結婚も諦めなきゃというセリフに疑問を挟んだつぐみに鮎川は「俺、たまにうんこ漏らすよ」と告白しました。

鮎川は下半身の感覚がないので、臭いがしてきてやっと気づくそうです。

また、同窓会を一人で抜け出した鮎川をつぐみが追いかけた時、1人にしてくれと鮎川が頼みました。

その瞬間、尿が漏れてしまいます。

「来るな!これ以上かっこ悪いところを見られたくない」

という鮎川の膝に上着をかけてあげて、つぐみは自宅まで送ってあげました。

排泄障がいの対応

排尿については、尿意を感じるか感じないかは脊髄損傷の人の場合は分かれるようです。

尿意を感じたとしても、筋肉がうまく働かずに排尿ができなかったり、腹圧で漏れるように排尿してしまう場合があります。

鮎川は油断すると(尿が)出ちゃうんだと告白しました。

年に1~2回は失敗しちゃうそうなので、普段は小まめにトイレに行くようにするようにするし、長時間の外出の場合はオムツを使用すると言っていました。

排便について、直腸や肛門の働きは脊髄神経の支配になるので、脊髄損傷者には支障が出ます。

便を直腸に溜められず失禁してしまったり、溜まり過ぎて排出が困難になったりします。

排便の対応については、脊髄損傷者によって異なりますが、鮎川のように小まめにトイレに行くようにするのが一番の理想のようです。

ケース3 褥瘡(じょくそう)

大切なコンペを控えたある日、腰に褥瘡ができた鮎川は入院を余儀なくされました。

脊髄損傷者は感覚がないので知らないうちにひどいことになっていることが多いと言われていて、鮎川ももれなくその状態でした。

鮎川の場合は褥瘡と共に尿路感染症を発症していました。

また、褥瘡は悪化すると肺血漿になる恐れがあるので入院してもらうという判断でした。

褥瘡(じょくそう)の対応

褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。

一般的に「床ずれ」ともいわれています。

一般社団法人日本褥瘡学会ホームページより引用 

褥瘡の初期段階は皮膚に赤みを帯びています。

赤みに気がついた時には体位交換をして、同じ場所に負担をかけないようにしましょう。

ひどくなると皮膚が壊死し、骨が見えるまで穴が開いてしまうのでそうなる前に介護者が体位交換をして傷への圧迫を防ぎます。

健康に見えても障がい者

健康で活発に活動している障がい者の方は数多くいます。

近年ではバリアフリーの設備が整い、障がい者雇用や障がい者スポーツなどがメディアに取り上げられるようになって生活しやすい環境が整ってきました。

けれども、このドラマで描かれているように表立って語られない障がい者の日常や苦悩があるのです。

今後もドラマの中で障がい者のリアルが描かれていくので、ぜひ等身大の姿を感じてほしいと思います。

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