日本でコロナウイルスの感染拡大が進んでいる中、特に人々の間で不安感が増す要因となっているのが、PCR検査を受けたくても受けられない人が大勢いるということです。
すでに、検査を受けられないまま亡くなり、死後にコロナウイルスに感染していたことが分かった事例も出ています。
政府は1日に実施するPCR検査2万件を目標に取り組みを進めていますが、まだまだ検査数は1日2万件に届いていないのが現状です。
日本でPCR検査の数が増えない理由についてまとめました。
目次
政府専門家会議記者会見、PCR検査ガイドライン見直しを表明、最低1日2万件の必要指摘
5月4日に開かれた政府専門家会議の記者会見で、専門家はPCR検査のガイドライン見直しを表明しました。
今までは発熱後4日間様子を見て、という受診の目安がありましたが、4日待たずともすぐ受けられるようにとガイドラインが見直されます。
また、PCR検査の体制は1日2万件以上、最低でも拡充していくべきと指摘がなされました。
今まで受診の目安となるガイドライン発熱後4日となっていたのも、そもそもPCR検査の体制が十分に整っていなかったためです。
そのため、重症化リスクの高い方を優先して受けられるようにしてきました。
結果、PCR検査を希望しても、ほとんどの方が検査を受けられないという事態にもなり、風邪症状が出ている方には特に大きな不安が生じています。
日本でPCR検査が増えない理由、多くは保健所のキャパシティの問題
日本でPCR検査が増えない理由は、保健所や衛生研究所など、PCR検査を実施する機関のキャパシティの問題です。
専門知識・スキルを持った検査を実施する「人」のキャパシティ、さらに検体を運ぶ業者、検査を実施するための防護服やマスクといった機材、あらゆる点で不足しています。
日本は2003年、SARSの感染者が出なかったという事情もあり、感染症対策について十分な準備ができていませんでした。
感染拡大が明らかになった3月初旬から、検査数を伸ばす必要性は強く訴えられてきましたが、思ったように検査数は伸びなかったのが現状です。
4月下旬の段階で、PCR検査を行う「能力」は、1日1万5000件までアップしました。
しかし、現実に検査を受けた人数との間には乖離があります。
検査を行うための「人」がいないなど、現実に沿った対策を講じていかなければ、検査能力をフルに発揮させることもできません。
今後PCR検査を増やすための取り組み、PCRセンター整備は進むか
今後PCR検査が増えるためのキーポイントとされているのが、PCRセンターなど民間へのPCR検査委託です。
保健所が業務過多となっている現状を少しでも改善していくことが、PCR検査の件数を増やす鍵になってきます。
このために期待されるのが、各地方自治体の取り組みです。
すでに一部の自治体では、ドライブスルー方式のPCR検査センターが開設されているところもあります。
また、3月から提言されていた簡易検査キットがあれば、状況が劇的に変わるという期待がありますが、こちらはどうしても開発に時間がかかります。
横浜市立大学では4月20日、新型コロナウイルスだけを検出する検体を開発することに成功しました。
スイス製薬大手、ロシュの開発した抗体検査薬も、日本で5月中に承認の申請がなされる見通しが出ています。
PCR検査数が増え、抗体検査キットの利用も目途が立てば状況はかなり変わってくるとの期待が出ていますが、コロナウイルスとの戦いはスピードが求められています。
日本のコロナ対策は「遅れ」が指摘されることが多かっただけに、今後はこれ以上の感染拡大を防ぐための取り組みが迅速に行われるよう期待しましょう。
日本の人口あたりPCR検査人数は途上国並み、検査体制の不備が出口の見えない原因に
「やる気がなかったわけではない」と、PCR検査件数が伸びないことに対し、安倍首相は取り組みの本気度を強く主張しています。
コロナウイルスの問題が長引くと、健康面だけでなく経済面でも大きな影響が生じ、失業者や自殺者の増加が懸念されます。
検査体制の不備で問題の出口が見えない状況は、一刻も早く改善される必要があります。
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