台風19号で深刻な被害が各地で発生する中、自治体の災害対応に対して怒りの声が上がっている案件があります。
断水していた神奈川県山北町に自衛隊の給水車が水を運んできましたが、住民に給水することができませんでした。
しかも、自衛隊が運んできた給水車の水は破棄されています。
手続き上の問題で、自衛隊の給水車の水は使えなかったのですが、この対応をした神奈川県が批難の的となりました。
山北町で自衛隊の給水車が給水できなかった理由について、詳しくまとめています。
目次
神奈川県山北町で自衛隊の給水車の水が破棄される、神奈川「県」が自衛隊に派遣要請を出さず
山北町で給水車の水が使えず、破棄されたのは、神奈川「県」が自衛隊に派遣要請を出さなかったためです。
神奈川県の最西部、山北町では12日夜の台風により、断水が発生しました。
山北町の湯川町長は、近くの自衛隊に連絡を取り、翌日に給水車の派遣を要請する可能性があることを伝えます。
13日の午前4時、自衛隊は山北町に
「給水のためには県知事から防衛相に派遣要請の必要があるので、県に依頼を」
という連絡を入れました。
これを受け、山北町の防災課は神奈川県に連絡をとり、給水車の派遣要請をしてもらえるよう依頼。
一方、自衛隊は県から派遣要請がある可能性があり、山北町に給水車3台を向かわせています。
しかし、13日朝に到着した自衛隊の給水車に対し、県から派遣要請は出ませんでした。自衛隊の給水車は水を供給することができず、水を捨てることになってしまいます。
神奈川県山北町で給水車の水が破棄された問題、山北町長は県がメンツを理由にしたのではと憤り
山北町の湯川町長は、県から派遣要請が下りず、自衛隊の給水車が使えなかった問題を、県の「メンツ」ではないかと憤っています。
県が町を通さず、直接自衛隊に連絡をしたことに、メンツが立たなかったのではという推測です。
神奈川県としては、自衛隊の給水車を使えなかった理由は、県のマニュアルのためと説明しています。
県のマニュアルでは、自衛隊の給水は「どうしようもなくなった時」の最終手段と規定。山北町はこれに該当しないと判断され、自衛隊の給水にゴーサインは出ませんでした。
しかし、山北町に神奈川県の給水車が到着したのは、自衛隊からかなり遅れた午後1時ごろで、それまで住民には給水がなされていません。
湯川町長は当時の山北町が「どうしようもない」状況であり、ケースバイケースで県が対応してくれなかったことに疑問の声を上げました。
神奈川県黒岩知事は元フジテレビキャスター、2011年から神奈川県知事でこれまで三選
この決定をした神奈川県の県知事、黒岩祐治氏にも非難の声が出ています。
黒岩知事は1980年にフジテレビに入社、ニュースキャスターなどとして活躍し、フジテレビを退職した後、2011年に神奈川県知事に立候補しました。
無所属での出馬ではありますが、当時の自民・公明に加え当時の与党、民主党まで相乗りで黒岩氏を擁立し、圧倒的な大差で当選を果たします。
中央とのパイプがあり、黒岩知事は2015年、2019年の選挙でも当選、現在3期目の任期を務めています。
しかし、今回の災害対応に関しては、災害時に住民のニーズを優先した対応ができなければ意味がないと、かなり多くの批判が集まりました。
県の給水車で対応できたため、マニュアル通りに動いたということですが、実際には住民に水が届くまでに5時間といったタイムラグが出ています。
このスピードの差は、災害に「対応」できていないという声が出るのも、仕方がないところです。
県の判断で給水車の水が破棄された問題、マニュアル通りでも対応に疑問の声多数
トップダウン型の指揮系統であり、隊員個人の裁量で給水ができなかった自衛隊。
今回の神奈川県の対応については、非常事態のために派遣要請を事後にできなかったのか、ケースバイケースで対応できなかったのかと批判が多数寄せられています。
災害時の自衛隊の活動、連絡体制は、今後の災害対策の課題の1つとして認識されるニュースとなりました。
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