ちぃたんが著作権侵害で活動停止?しんじょう君に酷似が原因で高知須崎市が訴訟する可能性も

2019年2月6日高知県須崎市がゆるキャラ・ちぃたん☆に対し、活動停止の申し入れを行いました。

高知県須崎市のゆるキャラ「しんじょう君」とPRに励んでいたちぃたん☆。

須崎市側が問題視した「著作権違反」、そして訴訟の可能性について時系列でまとめました。

須崎市側はなぜ「ちぃたん☆」に活動停止を求めているの?

2019年2月6日にマスコミが報じた内容では、ゆるキャラ「ちぃたん☆」が、高知県のマスコットキャラクター「しんじょう君」に似すぎていて、著作権違反を犯しているためというものでした。

ゆるキャラ・ちぃたん☆は、しんじょう君と一緒にPR活動をすることも多かったため、SNSでは「なぜ今更」「有名になったらちぃたん☆を潰すのか」と須崎市側への批判が多くツイートされました。

が、その後にSNS挙がったゆるキャラ「ちぃたん☆」側の動きや、須崎市長のコメントが広り、現在は「須崎市側が正しい」という意見が多くなってきています。

しんじょう君&ちぃたん☆事件を時列系でまとめてみた

今回の「しんじょう君&ちぃたん事件」は、ちょっと事情が複雑です。

まずは、これまでに「しんじょう君」「ちぃたん」がどんな経緯を辿ってきたのかをまとめてみました。

※2019年2月6日に須崎市長が発表したコメント・メディア情報を参考に制作しております。

2013年2月3日 高知県須崎市にて「しんじょう君」が誕生

高知県須崎市には、ニホンカワウソをモチーフにしたマスコットキャラがいました。

しかし2012年(平成24年)、高知県須崎市は「しんじょう君」という名前はそのままに、新しいキャラクターデザインの公募を行います。

全国より406の応募があり、須崎市民2000人により投票が行われました。

その結果、2013年2月3日に誕生したのが、今回騒動となった二代目の「しんじょう君」です。

このキャラクターをデザインしたのは、プロのデザイナーさんであることが解っています。

「しんじょう君」の著作権は、このときにデザイナーさんから須崎市側に移りました。

そして同年に着ぐるみ姿を披露し、あたらしい「しんじょう君」は、須崎市の観光PRをはじめました。

「しんじょう君」のマメ知識

「しんじょう君」は、日本で「絶滅種」に指定されたニホンカワウソをモチーフにしたキャラクターです。

1979年6月に、高知県須崎市にある新荘川で泳いでいる姿が目撃され、それが生存が確認された最期の姿です。

だから、ニホンカワウソからヒントを得た「しんじょう君」は、須崎市にとってとても大事なキャラクターなのです。

「しんじょう君」、ゆるキャラグランプリで人気を集め始める

2013年に高知県須崎市で誕生した「しんじょう君」は、ゆるきゃらブームの中で徐々に人気を集めはじめました。

人気のゆるキャラを選出する「ゆるキャラグランプリ」の順位を見ると、年々人気が上昇していることが解ります。

  • 2013年 「ゆるキャラグランプリ」14位
  • 2014年 「ゆるキャラグランプリ」4位
  • 2015年 「ゆるキャラグランプリ」4位
  • 2016年 「ゆるキャラグランプリ」1位

「しんじょう君」の人気上昇に伴いグッズ制作も盛んに

「しんじょう君」の人気が広がり、「ゆるキャラグランプリ」の順位が上がると、須崎市には「しんじょう君のグッズを作りたい」という依頼が企業&地域から寄せられるようになりました。

須崎市長によると、「しんじょう君」を使ったグッズの商標登録申請は1200に上るとのこと。

このように、しんじょう君のグッズは多数販売されています。

2017年9月 須崎市が「しんじょう君」を商標登録

しんじょう君が「ゆるきゃらグランプリ」で1位を獲得した2016年、須崎市は「しんじょう君」を商標登録に出願。

2019年9月に「しんじょう君」の商標登録が認められています。

2017年 本物の生きたカワウソ「ちぃたん☆」が人気を集め始める

ややこしいのですが(汗)、しんじょう君とは全く関係のないところで、個人がペットとして飼っている「ちぃたん☆」というカワウソが人気を集めます。

この生きたカワウソの「ちぃたん☆」は、2017年生まれということが解っているため、人気が出始めたのはそれ以降ということになります。

このことがのちに事件に関わってくるので、頭に入れておいてください。

2017年 東京の「株式会社クリープラッツ」がゆるキャラ「ちぃたん☆」を誕生させる

「しんじょう君」がゆるキャラグランプリで1位をとった翌年、2017年のこと。

東京の「株式会社クリープラッツ」という会社が、コツメカワウソをモデルにしたキャラ「ちぃたん☆」を誕生させます。

「ちぃたん☆」を作り上げたデザインバーさんと、「しんじょう君」のデザイナーさんは同一人物。

しかも、↑で紹介した本物の生きたカワウソ「ちぃたん☆」をモデルにしています(アメーバタイムス参照)。

作者が同じだけに、しんじょう君にそっくりな「ちぃたん☆」は、秋葉原出身のゆるキャラということで人気を集め始めました。

2018年1月 生きているカワウソ「ちぃたん☆」が、高知県須崎市の観光大使に任命される

2018年1月に生きているカワウソ「ちぃたん☆」が、高知県須崎市の観光大使に任命されました。

高知県須崎市側によれは、生きているカワウソ「ちぃたん☆」の関係者側から打診があり、観光大使が実現したとのこと。

そしてゆるキャラの方の「ちぃたん☆」は、「生きているカワウソのちぃたん☆」と「ゆるキャラのちぃたん☆」は同一人物」という考えから、自身も高知県須崎市の観光大使を名乗るようになります。

つまり、ゆるキャラの方の「ちぃたん☆」の方は、須崎市から「観光大使ですよ」と認められたわけではありません。

2018年 ゆるキャラ「ちぃたん☆」と須崎市「しんじょう君」が一緒にPR活動を始める

高知県須崎市の観光大使に任命された、生きているカワウソの「ちぃたん☆」は、動物なので、どこにでも移動できるというわけではありません。

このため、動物のちぃたん☆が行けない場所には、ゆるキャラのちぃたん☆が足を運び、須崎市のゆるキャラ・しんじょう君とPR活動をしていました。

「(動物の)ちぃたん☆が大きくなって、会いに来たよ」という体裁で、しんじょう君と共演したのです。

この姿が多くの人の目に留まったため、しんじょう君とちぃたん☆は「兄弟」「ペア」などと認識されるようになったわけです。

外見がそっくりですから、それも無理はありません。

2018年 ゆるキャラ「ちぃたん☆」の過激な行動が批判され始める

ゆるキャラの「ちぃたん☆」は、ユーチューバーとしての活動も積極的にこなしていました。

しかし、次第にゆるキャラとは思えない過激な行動が見え始めます。

こちらの動画では、アルミ缶を蹴飛ばしたり、車をひっくり返したりと荒々しい行動をするちぃたん☆の姿が。

とちゅうでしんじょう君もチラッと出てきます。

このような過激な動画を見た視聴者の多くは、ゆるキャラのちぃたん☆としんじょう君の所属が異なるとは知りません。

勘違いが悲劇を生み、ゆるキャラ・ちぃたん☆へのクレームが、高知県須崎市に寄せられるようになります。

が、須崎市側は頭を抱えながらも、「PRのためなので」と、ちぃたん☆のキャラに理解を示していました。

2018年8月 ゆるキャラ「ちぃたん☆」の商標登録を拒絶されていた

ゆるキャラ・ちぃたん☆を産んだ企業「株式会社クリープラッツ」は、2017年12月に「ちぃたん☆」の商標登録を申請。

しかし、須崎市側が2016年に商標登録していた「しんじょう君」に外見が酷似していたことから、申請は拒絶されてしまいました。

ゆるキャラ「ちぃたん☆」の商標登録申請を重く見た須崎市側

株式会社「クリープラッツ」が、ゆるキャラ・ちぃたん☆の商標登録を試みたことを、須崎市側は厳しい意識で受け止めました。

須崎市側が「しんじょう君」を選んだとき、しんじょう君の著作権はデザイナーさんから須崎市側に移っています。

そして以下の点に対し、「クリープラッツ」が法に反した行いをしていると指摘します。

須崎市側が問題視した点

  • 著作権法27条 イラスト・着ぐるみなどの翻案権
  • 著作権法28条 二次的著作物に関する原作者の権利
  • 著作権法21条 上記項目の「複製権」
  • 著作権法23条 上記項目の「公衆送信権」
  • 著作権法26条の2 譲渡権

不正競争防止法2条1項1号に定める不正競争に当たると判断

さらに、クリープラッツ側は国内だけでなく海外での商標登録も申請していました。

これらの行為により、須崎市側は「信頼関係が損なわれた」と判断したわけです。

2019年1月17日 須崎市が動物の「ちぃたん☆」を観光大使から解任する

2019年1月17日、須崎市は「須崎市観光大使」に任命していた「(生きているカワウソの)ちぃたん☆」を解任。

このことがニュースになり、SNSでは「ゆるキャラのちぃたんが観光大使から外された」という勘違いが相次ぎました。

しかし須崎市で観光大使に任命したのは、生きている動物のちぃたん☆。

ゆるキャラの方のちぃたん☆は、勝手に名乗っていただけで高知県が任命したものではありません。

上述していますが、「クリープラッツ」は動物のちぃたん☆とゆるキャラのちぃたん☆は同一と考えていたようですね。

なお、この事柄に関しては契約書は交わしていないとのことです。

2019年1月17日 須崎市はゆるキャラ「ちぃたん☆」の活動停止を申し入れていた

生きているカワウソの「ちぃたん☆」が、須崎市の観光大使から解任された1月17日のこと。

須崎市側は、「クリープラッツ」側に「ゆるキャラ・ちぃたん☆の活動停止」を申し入れていました。

しかし、クリープラッツ側は応じることなく、ゆるキャラ・ちぃたん☆の活動は続いていました。

2019年2月1日 須崎市側がクリープラッツに著作権違反について通知

クリープラッツ側がゆるキャラ・ちぃたん☆の活動停止に応じないため、須崎市側は上記の著作権違反について通知を行いました。

2019年2月6日 須崎市側は定例記者会見で「ちぃたん☆の活動停止を求める」と発表

2019年2月6日、須崎市側は定例記者会見を行い、「(ゆるキャラの)ちぃたん☆の活動停止を求めている」と発表しました。

現在は、クリープラッツ側の代理人と話し合いが続いているそうです。

関係悪化は「ちぃたん☆」の過激な行動ではない

先に動物の「ちぃたん☆」が観光大使を解任されたとき、SNSでは「(ゆるキャラの)ちぃたん☆の動画が過激すぎて、須崎市にクレームが殺到したことが解任の理由」と噂されていました。

先にも書いた通り、どうぶつのちぃたん☆の代わりにPRをしていたのが、ゆるキャラのちぃたん☆です。

「須崎市側は、動物のちぃたん☆を解任することで、ゆるキャラのちぃたん☆との関係を切ろうとした」と考える人が多かったのです。

しかしこの説に対し、須崎市側はハッキリ「過激な動画が原因ではない」と否定しています。

須崎市側は、ゆるキャラ・ちぃたん☆の過激な行動に対し「PRにエンターテイメントは必要」と理解を示していました。

問題はあくまで、「クリープラッツ側がゆるキャラ・ちぃたん☆の商標登録を試みたことです。

SNSでは「第二のティラミスヒーロー事件だ」との声も

「ゆるキャラ・ちぃたん☆の活動停止申し入れ」までの流れが広がると、SNSではクリープラッツに対し、「第二のティラミスヒーロー事件ではないか」という声も上がり始めました。

SNSの声

1.須崎市の「しんじょう君」がゆるキャラ1位になった直後に、同じカワウソモチーフの「ちぃたん☆」を誕生させている

2.わざわざ「しんじょう君」と同じデザイナーに、ゆるキャラ「ちぃたん☆」のデザインを依頼している

3.本物のカワウソ・ちぃたん☆を須崎市の観光大使にと打診したのも、ゆるキャラ・ちぃたん☆側である

4.カワウソ・ちぃたんがPRできないことに乗じて、ゆるキャラ・ちぃたん☆をしんじょう君と共演させ、さも兄弟のような印象を作った

5.しんじょう君にそっくりのキャラなのに、しんじょう君より有名になり、自分たちが1から生み出したキャラかのように商標登録をしようとした

6.国内で商標登録が拒絶されたあとも、海外で商標登録をしようとしていた(須崎市長のコメントに「国内外」という言葉がある

「ティラミスヒーローで行われた乗っ取りに似ていないか?」と指摘

という流れで、「ティラミスヒーロー」がやった乗っ取りを疑われているわけです。

須崎市は「ちぃたん☆」を最初から問題視していたわけではなく、当初は共演してPRするなど好意的だったので、「ティラミスヒーロー事件」とは経緯がまったく異なります。

が、一連の経緯に乗っ取りを試みたと思われる形跡があるため、同じだと思われやすいのかもしれませんね。

須崎市側が語る「訴訟の可能性」はあるのか?

須崎市長は、このままゆるキャラ・ちぃたん☆の活動が停止されなかった場合、訴訟も辞さないという強弁な対応を発表しています。

では、実際にちぃたん☆事件が訴訟に発展する可能性はあるのでしょうか?

現在は、須崎市側とクリープラッツ側が話し合いをしている状態なので、その話し合いが終わってみないと何とも言えません。

しかし、互いに人気が高いゆるキャラであることを考えると、イメージを保つためにどこかで落としどころをつけるのではないか?と予想します。

須崎市側は、ゆるキャラのちぃたん☆が出てきた時点で、法に訴えることもできたわけです。

それをしなかったのは、ちぃたん☆の存在がしんじょう君のPRにつながることもありますが、なによりしんじょう君のイメージを考えてのことではないでしょうか?

市民から選ばれたこんなに可愛いしんじょう君が、訴訟という傷を背負うことを望んでいなかったはずです。

著作権料問題を解決し、今後もしんじょう君&ちぃたん☆の両者が活動できるよう、前向きな解決につなげてほしいですね。

一次創作の権利を重く考える時期に来ている

2019年1月にSNSを賑わせた「ティラミスヒーロー事件」のこともあり、最近は「一次創作の権利を重んじる」という傾向が強くなってきました。

最初に作品を作り上げた人がいるのに、その作品に似せて作られた2番目の作品の方が有名になり、最終的には2番目がすべての権利を持って行ってしまう…このようなことは、「ティラミスヒーロー事件」の以前から横行してきました。

ここに来て「一次制作者の権利」を重く見る人が増えたのは、すべてのジャンルで活躍するアーティストにとってプラスになることです。

1から作品を作り上げるというのは、子供を産むのと同じくらい大変だと聞きます。

血と汗をにじませて努力し、ようやく生み出した作品を、他の誰かが簡単に持っていく行為は許されることではありません。

「技術大国日本」の名に恥じないように、国民の一人一人が権利に対する意識を強くしていく必要があるのではないでしょうか。

「ちぃたん☆」に関しては、まだ企業側のコメントが出ていません。

まずは企業側のコメントが発表され、その後に両者にとっていい解決法が導きされることを願います。

3 件のコメント

  • わかりやすくまとめられたいい記事ですね。「しんじょうくん」でなくて「しんじょう君」、「親善大使」でなくて「観光大使」ではあるけど。

    それとちぃたん☆側が乗っ取りを行おうとした痕跡は、しんじょう君が去年発表していた海外アニメ放送が行われる圏内の商標出願→国内とはいえアニメ化被せ、という経緯もあると思います。

    • 修正いたしました。ご指摘ありがとうございます!

      記事を読んでいただきありがとうございます。

  • すごくわかりやすくまとまっていて、読みやすかったです!
    はじめ、ちぃたん☆としんじょう君は兄弟なんだ、と思ってたのに訴えられてしまって、え?どういうこと?って思っていた私ですが、この記事でよく理解出来ました!
    早く問題が解決して欲しいですね( ˊᵕˋ 😉

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