2019年末に、保釈中の身であったカルロス・ゴーン被告が、日本を脱出し、レバノンに出国していたことが大きなニュースとなっています。
保釈条件には、無断で海外へ渡航することを禁止することも含まれていて、ゴーン被告はこの条項を無視した形です。
このニュースは、日本だけではなくフランスなど、世界各国でもニュースとなりました。
日本以外の海外メディアの反応や、ルノーの本社があるフランス・逃亡先のレバノンでの市民の意見などをまとめています。
目次
海外メディアは日本の司法制度を問題視
カルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡したことに対し、海外のメディアはゴーン被告を責める論調よりも、日本の司法制度を問題酢する声のほうが目立ちます。
「人質司法」とも呼ばれるような長期間の勾留や、保釈中にもゴーン被告の妻と自由に会えないという日本の司法制度に、非常に厳しい意見が出されました。
一方、フランスのメディアでも、ゴーン被告の行動を問題視しているところもあります。
フランスでも、ゴーン被告は結婚式に会社の費用を流用した件などについて、告訴が進んでいます。
ゴーン被告が、日本の司法だけでなく、フランス司法からも逃げているということを、厳しく責める方も少なくありません。
レバノン政府関与を疑う記事も
海外メディアでは、今回のゴーン被告の逃亡劇に対し、レバノン政府が関与していた可能性を示唆する記事もあります。
レバノンと日本は犯罪者の引き渡し条約が締結されていない国同士で、レバノンは、日本にゴーン被告を送還する可能性が低いと報じています。
もちろんレバノン政府が逃亡に関与していた場合は、完全に日本の主権干渉という外交問題です。
レバノン政府は、関与を明確に否定しています。しかし、ゴーン被告を日本に引き渡すことについては、拒否の姿勢を示しました。
フランス政府は日本と違い、レバノンと犯罪者引き渡し条約を結んでいますが、フランスもゴーン被告がフランスに来た際日本にゴーン被告を引き渡すことはないとしています。
この両国政府の反応を見ると、カルロス・ゴーン被告が日本に引き渡される可能性は、かなり低いと断じざるを得ない状況です。
フランス市民は過半数が理解、レバノンでは英雄視
市民レベルでは、ルノーの本社があるフランス市民の世論調査で、カルロス・ゴーン被告の逃亡に一定の理解が得られるという結果となりました。
日本で逮捕勾留されたというニュースが流れた際、長期間にわたってゴーン被告が勾留されたという報道が、非常に大きな影響を与えています。
ただしフランスでも、会社のお金に手をつけた経営者ということで、ゴーン被告に対し非常に厳しい意見を述べる市民も少なくありません。
一方、ゴーン被告が逃亡先に選んだレバノンでは、世界レベルで経営に成功した存在として、ゴーン被告を英雄視している方が多いです。
不当な司法支配をされる日本ではなく、レバノンで自らの無実を証明すべきという意見も出ています。
カルロス・ゴーン被告は8日にレバノンで記者会見予定
カルロス・ゴーン被告は、現在滞在しているレバノンの首都・ベイルートで、8日に記者会見を開く予定となっています。
今のところ、ゴーン被告が何を話すかについて、本人や弁護士など関係者の口からは何も語られていません。
日本の司法制度についての不満を口にして、今回の逃亡を正当化するのか、事件そのものに対する釈明を行うのか、注目が集まっています。
日本の刑事裁判手続き停止の恐れ
カルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡したことで、日本におけるカルロス・ゴーン被告の裁判は非常に難しくなり、事件の全容解明も難しくなりました。
これまでの経緯やフランス・レバノン政府の姿勢を見ると、カルロス・ゴーン被告が日本に戻り裁判を受ける可能性は、極めて低い状況です。
まずは、8日に予定されているゴーン被告の記者会見に注目しましょう。
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