2019年7月22日発売の週刊少年ジャンプ34号『アクタージュ act-age』最新話74話のネタバレや読んだ感想を紹介します。
目次
『アクタージュ act-age』第74話「助演」のネタバレ
台本読みを続ける王賀美と夜凪 白石が語る王賀美の過去
山野上花子との邂逅から戻り、落ちた照明の中、王賀美との台本読みを続ける夜凪。
「王賀美さん、途中からアドリブになってますよ。台詞覚えてないから」
「ええ。しかし楽しそうです」
と、遠巻きでそれを眺め、語るのは、「羅刹女」で夜凪たちと共演する、朝野と白石です。
「白石さんってなんで王賀美さんと知り合いなの?」
と、不意に白石に尋ねる朝野。白石は、偶々王賀美がスカウトされた現場に居合わせたのだ、と明かし、当時の事を語り始めます。
10年も前。ある映画の撮影中、当時学生だった王賀美が、偶々カメラに映り込んでしまった出来事がありました。
主演をも飲み込む存在感に、誰もが凍りつき、その場に居合わせた星アリサによって、王賀美はスカウトされました。
「正に一世風靡というやつでした」
「演技経験のない15歳の少年がたった数ヶ月で国民的な人気を得て」
「翌年には主演映画で俳優賞を総なめ」
その白石の評価を聞き、「当時10歳だったけど私のが芸歴が長かった」と言う朝野も、「すごく悔しかった」と思い出を語ります。
そして、王賀美が人気を不動のものとした後の事。白石は、王賀美が星アリサへと突っかかっていった現場に遭遇した出来事を、思い出します。
「あんたわざとやってんだろ」
「なんで俺の共演者はザコばっかなんだ」
そう語る王賀美に、アリサは、「今回はあなたの希望に応えて白石君と共演させている」と反論。
しかし王賀美は、「白石サンとの共演シーンがなくなってる。同じ作品に参加してるだけだ」と、不満をあらわにします。
アリサの意向だというその方針。
「あなたは他の俳優を飲み込みかねない」
「少しは有望な俳優の未来を考えなさい」
と言うアリサに、王賀美は掴みかかりますが、「女には手を出さねえ」という信条を持つ王賀美は、その場を引き下がります。
オーディションという名の出来レース。
用意された経歴。
事務所の意向に沿った作品への出演。
引き立て役との共演しか許されない現状。
他にも理由はあるのでしょう、と白石は語りますが、とにかく王賀美はその日を境にスターズを辞め、日本での仕事を完全に失う事になりました。
すぐに海外から声がかかった、という話を聞いていた朝野は、驚きをあらわにします。しかし白石によれば、それはその後の話。
国内においては、「スターズ」の名が怖くて、他の事務所が手を出せなかった、という事情があったのだと言います。
白石の記憶 日本を離れる王賀美
「丁度この場所でした」
と、白石は、海外へと渡る王賀美を、見送りに来た時の事を話し始めます。
「向こうのエージェントから声がかかったってね」
「ああ。もう映画も決まってる」
と話す若き白石と王賀美。王賀美は、「この俺が助演だとよ」と嬉しそうに語り、白石に、「一緒に来るか」と誘いをかけます。
しかし王賀美は、「なんてな」とすぐに己の言葉を翻し、白石に別れを告げます。
「もう少し一緒に頑張りませんか」
と声をかける白石。
「この国は狭すぎる、何もかも」
「どん詰まりだ」
しかし王賀美は、振り返ることなく白石にそう返します。白石によれば、当時16歳だったその背中は、酷く寂しそうに見えた、との事でした。
白石の目に映る王賀美の嬉しそうな顔
(だから僕には)
(彼のあの顔が嬉しいんです)
と語る白石の目の先には、楽しそうに夜凪との台本読みを続ける、王賀美の姿がありました。
空港の照明が戻り、夜凪と王賀美の台本読みが途切れます。ギャラリーの声援の中、王賀美は、「俺の皿に収まる気はねぇって芝居だな」と、夜凪の芝居を評します。
「…王賀美さんどうだった?」
「私のお芝居」
と言う夜凪。
「礼を言う夜凪景」
「俺がこの国で助演を演るのは初めてのことだ」
王賀美はそう答え、「羅刹女」の稽古に戻ることを宣言。夜凪を腕に抱え、「舞台『羅刹女』に期待してくれ」とギャラリーに言い放ち、その場を後にしました。
稽古へと戻った王賀美、関係者それぞれの反応は
それに対し、「番宣だったのか?」と、呆然とするギャラリーたち。「抜け目ないですね」と言う山野上に、天知は「そんなリスキーなことはしません」と答えますが、武光はそれに疑念の表情を浮かべます。
「景、この3日お前あのメガネといたのか?」
そう言って、山野上を見やる王賀美。
(何をしたのか知らないが)
(たった3日で夜凪の芝居をここまで変えたのか、あの女が)
と、王賀美は、山野上の仕事ぶりを評価しました。
「悪くねぇな、楽しくなってきた」
一方、阿良也と千世子は、そう言って空港を後にする王賀美と夜凪を見送ります。
「楽しくなってきたね」
「そうだね」
そんな事を言い合う千世子と阿良也。しかし千世子だけは、意味深長な視線を、去って行く2人へと送っているのでした。
『アクタージュ act-age』第74話を読んだ感想
王賀美が海外へと帰ろうとする中、武光が止めようとして、夜凪が間に合わず、満を持して阿良也・千世子登場ーー! からの、やっぱり主人公! という流れだったここ数話。
夜凪の成長に対する、千世子の感情が気になる読者としては、千世子に見せ場を作ってあげて欲しかった、というところですが、まあ収まるところに収まった、という回でした。
しかし、ここで王賀美にスポットが当たるとは思ってませんでした。天上天下唯我独尊ながら、どこか憎めないキャラを積み上げてきた彼。
その過去にも思うところはありますが、個人的に驚きだったのは、白石が王賀美から相当な信頼を受けている点でした。
単にスカウト時からの縁なのか、実はとてつもない実力を持つ役者なのか、人格ゆえか。単に「縁」だけなら、冗談でも王賀美が海外に誘う、なんて事はなさそうなので、実力か人格か、といったところでしょうか。
どうあれ、今までは雲の上の人物のような描かれ方をしていた王賀美。彼が、白石の視点を通すことで身近な存在として、感じる事が出来るようになった、そんな回でした。
そうして、「羅刹女」夜凪サイドが、夜凪・王賀美・山野上、と、盤石になっていくのに対し、読者的に一層不安が膨らんでいくのが、阿良也・千世子・黒山サイド。そもそもこの3人が協力して舞台を作り上げる……というのが想像しづらいのもそうですが、千世子の動向が気になるところです。
今週のラストでもそうでしたが、夜凪に関して、色々とフラストレーションを溜めていそうな、意味深な表情が目立つ千世子。
いつか何かが爆発してしまわないかと、心配なのですが、黒山・阿良也が彼女のブレーキになってくれるかと言うと……とにかく不安。
夜凪サイドの掘り下げと準備はもう充分っぽいので、今後は、千世子サイドの掘り下げに注目していきたいところです。黒山の思惑も含めて。
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